65.謝罪 ページ17
…はぁ〜
「溜め息でかっ、」
着替えて自室を出れば、
外で待っていた夏ちゃんにそんなことを言われる。
「ていうか昨日〜!!
私何度もメッセージ送ったのに〜!!」
「…えっ!?」
パッとポケットからスマホを取り出し、
ロックを解除すれば
アプリアイコンの上に「23」という数字が。
すべて夏ちゃんからだった。
「ごめん、見ずに寝ちゃって…!」
玲王と話していたから、
というのが本当なのだが…。
「むー、今日は絶対に私の部屋だからねっ!?」
「分かった分かった。」
実際玲王とは…
大分気まずいし…。
今日彼の部屋に行くことは無いだろう。
昨日と同様。
予備校に着き、
夏ちゃんと別れる。
昨日講義を受けた教室に着けば、
もう既にみんな到着していた。
がやがや煩くしていたから、
そこまで目立ってはいない
…けど…
「…っ、」
目が合ってしまった。
気まずい…
しかしもうヤツの隣しか座れるところがない。
…いや、彼の隣が空いてるなんて普通に驚く。
そんなこと、絶対にないと思ってた。
隣に座りたかった女子だって、沢山居たはずだ。
…それなのに…
「…はよ。」
どうしてそうやって
私に手招きしてるの。
私のために空けてくれてたの…?
「…おはよう玲王。」
玲王の隣に座ると、
あからさまに顔を逸らされる。
耳が真っ赤になっているのが見えてしまい、
こちらも顔に熱が籠もる。
「…その、
朝は悪かった。」
私があの後、
黙って部屋を出て行ったからかな。
「…お、怒ったりしてない。
…ただ…恥ずかしくて…。」
居ても立っても居られなくなって、
何も言わずに飛び出しちゃったの。
「ははっ、そっか。」
やっとこちらを振り向いた彼は、
ホッとしたように優しく微笑んだ。
「寝起きで頭が回ってなかったもんで。」
「あははっ、仕方ないよ。」
寝起きの玲王は初めて見たけど、
いつもと雰囲気が違って、
なんだか余計にドキドキしてしまった気がする。
「…でも…
俺があんなことすんの、
お前だけだから。」
388人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ