42.会いたくない人 ページ42
「A。」
後ろから肩をとんとんと叩かれ、
反射的に振り返る。
「あ、玲王。」
会いたくない人に会ってしまった。
クラス同じだし席も近いから、嫌でも会うんだけど。
「おはよ！
荷物持つから、教室上がろうぜ。」
私の隣りにいる豹馬の存在に気がつくと、
ペコッと頭を下げる。
それにつられて、豹馬も頭を下げ、
私の鞄を彼に預けていた。
「…そんじゃ、
今日１日イイ子にしてろよ〜？」
「うざぁ…。」
こんなにムカつく豹馬も、
私のために色々してくれたのは事実。
遠ざかっていく彼の背中に、
ありがとう豹馬、と少し小さな声で言えば、
ちゃんと聞こえてたよ、
なんて言ってるみたいに、手を振り返してくれた。
「あれ、姉ちゃん？」
きょとんとして
彼を指差す玲王。
「違う違う、全く似てないでしょ。」
「確かに。」
「幼馴染みだよ。
鹿児島から会いに来てくれたんだよね。」
「なるほどな〜。」
確実に豹馬のことを女子だと思ってるけど、
それはそれで面白いから敢えて言わない。
「ほい、立てるか？」
差し伸べられたその大きな手に捕まって、
よろよろと立ち上がる。
お尻の下に敷いてくれたハンカチをポケットにしまい、
松葉杖で一歩踏み出す。
「…！？」
「…あっぶな。」
溝にはまって転びそうになったのを、
玲王がなんとか支えてくれる。
「あ、ありがとう…。」
「んーん、
Aって、それ使うの苦手？」
「…ハイ…。」
「ははっ、だと思った。
少し遠回りになっちまうけど、こっちから行こうぜ。
こっちのほうが平らだし、人も居ないから。」
玲王が指したのは、校舎を挟んで１つ隣の入口。
砂利が敷き詰められた正門とは違い、
そっちの地面はコンクリートで固められている。
彼なりの気遣いが嬉しかった。
たとえ彼にどれだけ傷つけられようとも、
私はまた好きになってしまうのだと思う。
「終業式のことだけど、
みんなと同じ時間帯だと混み合うからさ。
俺達は少し遅れて行こうぜ。」
「え？駄目だよ、
玲王は先に行って？」
「それは無理。
ちゃんと許可はもらうから大丈夫だって。」
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照山紅葉(プロフ) - まむさん» コメントありがとうございます！めっちゃ嬉しいです！今後とも宜しくお願いします〜！ (1月18日 7時) (
レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
まむ - 玲王くん、それはな、嫉妬って言うんや。ほんっとうにこの話大好き愛してます (1月17日 22時) (レス) @page15 id: 92ead78b3b (このIDを非表示/違反報告)
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