35.下手 ページ35
「捻挫ですね。
症状が軽いので1週間くらいでよくなると思います。
念の為シーネで固定しておきます。
1週間は松葉杖で様子を見てください。」
あ、そんなもんだったのか。
じゃあ歩いても良くない??
「固定するので、こちらの部屋に…」
「完治一ヶ月とか言われなくて良かったわ〜。
来週辺りには、Aちゃんとお買い物に行けそうね♪」
「母さん、あんまりAに無理させんなよ。
本当に1週間で治るか分かんねえんだぞ。」
「…ぐっ。」
2人がそんな会話をしている中、
私はこの2本の曲者に奮闘中。
「お前まだ慣れないのかよ。」
「仕方ないじゃん、下手なもんは下手なの!」
「さっき看護師さんに笑われてたしな。」
コノヤロー、
松葉杖以上に千切に腹が立つ。
「ほら、少しずつ前に出すんだよ。
2本同時に。」
「…。」
こうやって私の隣に来て、
支えてくれるところは優しいけど。
なんか憎めない。
いつも千切はズルい。
帰りの車で話を聞けば、
千切たちは2週間くらいうちに居るらしい。
「千切、部活は大丈夫なの?
おばさんもお仕事とか…。」
「お休みを頂いてるから大丈夫よ。
豹馬も、最近部活は休んでるみたいだし。」
そっか、まだ足が完治してるわけじゃないのかな。
私のこんな怪我、
豹馬に比べたら本当にちっぽけな怪我だ。
「そっか…。
この時期といえば鹿児島は…
千切が黙ってしまったのを感じて、
六月灯に話を変える。
「そうね〜、もうそんな時期ね!
昔は豹馬とAちゃんで毎年行ってたわよね♪」
六月灯、どうやらこの言葉が通じるのは鹿児島だけらしい。
地域ごとに行われる、いわば「夏祭り」みたいなもの。
「千切、毎年女子に誘われてたよね〜。」
「あ〜、お前を理由に断ってたけどな。」
「あはは、なんか申し訳ない。」
一緒にかき氷すりおろしてたな〜。
余った氷でご褒美に
こっそり自分たち用を作ってたんだよね。
「懐かしいな〜。」
「ほんとにな。
最近行けてねえけど、
またいつか一緒に行こうな。」
「…うん、行こっか!」
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照山紅葉(プロフ) - まむさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!今後とも宜しくお願いします〜! (1月18日 7時) (レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
まむ - 玲王くん、それはな、嫉妬って言うんや。ほんっとうにこの話大好き愛してます (1月17日 22時) (レス) @page15 id: 92ead78b3b (このIDを非表示/違反報告)
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