13.手伝い ページ13
「A、一人で大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。」
クラス全員分のテキストとノートを両手に積み重ねて
職員室から出る。
昼休み、職員室を通りかかったら、
偶々声をかけられて頼まれた。
いちいち教室と職員室を行き来するのは面倒だし、
かと言って誰かに頼むのも悪いので
結構な重さのこれを抱えて歩いているというわけだ。
私の顔くらいの高さまであるから、
左右に顔を出さなければ前が見えない。
ちょっとだけ腕がキツいせいか、
運良くクラスメイトが通りかかってくれないかな、
なんて淡い期待を抱いている。
頼めるかどうかは別として。
教室は階段を登って少し歩いたところにある。
ちょっと怖いけど、階段を登らなければいけない。
階段をゆっくり登り始める
と、やっぱり上の方のノートたちをコントロールするのは難しくて
ドサッと半分くらいを階段にバラ撒いてしまった。
「…あ〜…。」
うん、そうだろうと思っていたよ。
これ、ちょっと無茶したかも、
と自分でも思う。
面倒くさいことしたな〜、
と散らばったノートを拾い集める。
「あれ、なにしてんのA。」
声のする方に顔を向ければ、
階段に座ってスマホを弄る凪くんがいた。
「あはは、ちょっと先生に頼まれちゃって…。」
「女子一人にそんな量を?
もう虐められてるんじゃないの?」
「違う違う!
私が全部持っていきますって言ったから…!」
「なにそれAが馬鹿じゃん。」
ストレートだね色々と…
そんなこと言いながらも
なんやかんやで拾うの手伝ってくれる凪くん。
ちょっとだけ見直したよね。
「これ、Aの教室まで?」
「あ、うん。」
「じゃあ、こっちだけ持っていってあげる。」
彼は私が持っていた3分の2程を抱え、
立ち上がる。
「いやいや、ありがたいけどせめて半分くらいは…。」
「女の子に半分も持ってもらうわけにはいかないし。」
持ってもらってるのはこっちなんだけど…。
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照山紅葉(プロフ) - まむさん» コメントありがとうございます!めっちゃ嬉しいです!今後とも宜しくお願いします〜! (1月18日 7時) (レス) id: 4eedfa653b (このIDを非表示/違反報告)
まむ - 玲王くん、それはな、嫉妬って言うんや。ほんっとうにこの話大好き愛してます (1月17日 22時) (レス) @page15 id: 92ead78b3b (このIDを非表示/違反報告)
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