16#ミス ページ16
最近、本当に精神的にも肉体的にもきていたんだと思う
大学とバイトの両立は大変で、くろちゃんのお世話は楽しくて癒しだったけど
新しい飼い主探しが思ったよりも自分に負担をかけていたみたいだった
今日もいつも通り大学が終わってからバイトに向かって
いつも通り帰宅してくろちゃんに癒されようと思っていたのに
私は盛大なミスを犯してしまった
それはバイト中での出来事
なんだかついに心の疲れが体にもきてしまったのか、さっきから足取りが重くて少しふらふらする
それに気づいた安嶋くんが、A先輩大丈夫ですか？と声を掛けてくれたのに
私は心配させたくなくて笑顔で大丈夫だよと答えた
お得意様が来店してご注文を承る
そこまではよかった、いつも通りだった。
頼まれたこの店特製のコーヒーをお客様の元へ運び
ごゆっくりどうぞと言ってこと無く終えると思っていたのに
「コーヒー出来上がりました！」
『はい！ありがとうございます！』
受け取って運んでいるときに、あれ？なんか目の前の視界がぼやけるなって…
でも、あそこに客がいるのはわかるからまだいけるか…と思っていたその時
目の前がいきなりグラッと揺れたのと同時に私の持っていたトレイは視界から消えて
ガッシャーンと大きな音と共に何もかもが崩れ落ちてしまった
目の前の光景に呆然とする私とその周りにいた客たち
音を聞いた内村くんが後ろから慌ててやって来て
A先輩大丈夫ですか！？怪我ないですか！？って心配してくれた
だけど、何も考えられなくなった私はただ目の前の溢れたコーヒーとカップの破片を眺めているだけ
「A先輩、あとは俺がやっとくんで後ろ行ってください！」
『え、でも…』
いいから！と背中を押されて私は後ろに行く
コーヒーを溢したのは私なのに…
目の前のお得意様に内村くんが代わりに謝ってくれて
溢したコーヒーと破片まで片付けてくれたから
本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになった
後から店長がやってきて、私のミスを聞くと、もう今日は帰れと言った
今まで一度も言われたことのない言葉が私の胸に突き刺さり、改めて自分のしてしまったことの大きさに気づく
エプロンを脱ごうとする私の手は震えてなかなか上手に脱ぐことができなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 328人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆゆゆ - コメント失礼します。とっても面白くて続きが気になります！秋様にご無理のないペースで、これからも更新楽しみにしております！ (2022年1月18日 15時) (
レス) @page48 id: 13a3535e82 (このIDを非表示/違反報告)
秋(プロフ) - はるさん» はじめまして。コメントありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです。遅くなりましたが更新させていただきました！ (2022年1月10日 10時) (レス) id: 5cbc74ce20 (このIDを非表示/違反報告)
はる - はじめまして。更新楽しみにしています！ (2021年12月29日 22時) (レス) id: cd936318a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：秋 | 作成日時：2021年10月15日 15時
