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69 侵入者 ページ24

その頃、加州たちは気配を感じた表門に来ていた。
だが、そこには誰もおらずただ門が開いているだけだった。
その光景から確かに誰かが侵入した事が伺える。


「…動物の気配では無かったよね。」

「うん、それにこれ出る時は押すけど入る時は引く門だからね。人か遡行軍か…」

「前者だと有難いんですけどね…」


そんな中、本丸の曲がり角の先の草むらからガサッと音が聞こえる。
三振りは無言で頷き本体を取り出す。
堀川が音を立てずに近づくと、その先で戸惑うような声が聞こえた。

その声に驚いて残りの二振りも走り出し、曲がった先に見えた光景に二振りは目を見開いた。

草むらに堀川がうつ伏せで倒れている


「堀川っ!!」

「おい!しっかりしろ!!」


目立つ外傷は見当たらない。けれど、堀川は気を失っているのか安定の腕の中でぐったりとしている。
精神系の攻撃か?毒か?と思考を回す中、堀川が息をしている事に気づく。

そして


「……兼さん…」

「「はい?」」


ふにゃっと笑ったと思うと寝言のように呟いた言葉に、二振りは目を白黒させる。

寝ているのかこいつ。

大きな溜息をつくと、安心から笑顔がこぼれる。


「心配させるなよ…」

「ほんとだよね…心臓に悪い」


大和守はそう言うと、よっこいしょと立ち上がりとりあえず本丸の廊下に乗せる。
清光が本体を取ろうと屈んだ時、本丸の軒下で何かが動いた気がして顔を向けると、何かがキラリと光った。


「安定!上に飛べっ!!!」


いきなりの清光の声に驚きはしたが、その声に従って二振りは本丸の廊下の上に飛び乗った。
この二振りだったからこそ出来た芸道であった。


「あーあ、土足で……主に怒られちゃうね。」

「なんでお前はいつも呑気なのさ!!」


そんな事今はどうでもいい。と言い放つ清光に、静かに大和守が問う。


「…軒下に誰かいるの?」

「ああ。誰かいる。」


再びゆっくりと抜刀すると、意を決して二振りは軒下より遠目のところに着地する。
そして薄暗い軒下を夜目の効く二人が目を凝らすと、確かに誰かが這い蹲ってこちらの様子を伺っていた。


「う〜ん…やっぱり短刀ほどは鮮明に見えないね」

「誰か連れてくるべきだったかな…」


なんて明るく言いながらも、ポケットから堀川の刀装を取り出して地面に叩きつければ、強制的に現れる弓兵たち。


「……堀川に怒られるよ」

「煩いなぁ。俺の石投兵じゃ無理でしょ?」

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あごしわ - コナンって光合成みたいに推理しなきゃ逝っちゃう呪いでもかかってるんじゃないかなって思う時がある。 (2020年1月1日 3時) (レス) id: d41c4bfd58 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 式さん» その案名案ですね!!そうします!!暖かいコメントもありがとうございます(´∇`) (2018年8月7日 8時) (レス) id: 270593a483 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜 亜琉麻(プロフ) - 上でお願い申し上げます! (2018年8月7日 2時) (レス) id: e742954296 (このIDを非表示/違反報告)
璃奈 - 上でよろしくお願いします。 (2018年8月6日 22時) (レス) id: 9d081775ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 上で、式さんのような感じがいいです。続き楽しみにしてます (2018年8月6日 14時) (レス) id: 01a97476ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/  
作成日時:2018年5月5日 21時

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