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67 主命 ページ22

NOside

「僕が見てくるよ。」


乱に続いて声を上げたのは堀川だった。
彼は立ち上がり手を叩くと、たちまち正装へと早変わりした。


「闇討ち暗殺お手のものってね。」


ニッコリと微笑む堀川にAは顔を歪めた。
その表情を見た加州と安定も立ち上がる。


「俺達も行くよ。」


彼らもまた手を叩き正装へと早変わりする。
相棒である和泉守は堀川とアイコンタクトを取ると、大きく頷いて主である審神者の近くに寄り添う。


『私も』

「主はここにいて。俺たちに何かあればすぐに察知できるでしょ?」

『……分かった』


事が起こってからでは遅いことを審神者は言いたかった。
けれど、その三振りは瞳に強い光を宿していて彼女は止めることが出来なかったのだ。

主の言葉を聞いた途端、物凄い速さで走り出した彼ら。
心配そうに見つめる彼女に、和泉守は口を開いた。


「大丈夫だ、主。国広たちを信じろ。」

『……ええ。信じてるわ。でも、何か嫌な予感がして…』


胸元をぎゅっと握りながらその視線を変えない彼女を和泉守は切なげに瞳が揺れていた。

妬ける

彼の心にはこの言葉が浮かんでいた。
否、彼だけでは無い。その場にいた刀剣男士の誰もがあの三振りに妬いているのだ。

そんな中、何かを察知したのかAはいきなり立ち上がった。
彼女の行動に皆が主と審神者を呼ぶ。


「…加州達に何かあったのか?」


目を細め茶をすすっている三日月がAに問う。
彼の言葉に皆が目を見開き立ち上がろうとする。


『…いえ。何でもないんで来ないで下さい。』


桜がブワッと舞ったと思うと、彼女は一瞬にして消えた。
その光景に全員が声を荒らげる。

皆は主が敬語を使っている事で気付いてしまったのだ。彼女は審神者(・・・)として皆に言っていた。彼女(・・)としてではない。

彼女は審神者とAのON/OFFが上手い人だ。
審神者としての命令時は敬語を。Aとして接している時はタメで。
Aという名前が、審神者としての名前だと分かっていても刀剣男士たちは本当の名前のように感じてしまう。それほど彼女は違和感を感じさせない。


「主を追いかければ!!」

「主様!!」

「待てよ。」


皆が立ち上がり正装へと早変わりしようとするのを、立ち上がった和泉守が止めに入る。


「何故だ!和泉守!」


その彼に長谷部が噛み付くように怒鳴れば、和泉守は真剣な面差しで皆に言う。


「主命だ。…従ってやれ」

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あごしわ - コナンって光合成みたいに推理しなきゃ逝っちゃう呪いでもかかってるんじゃないかなって思う時がある。 (2020年1月1日 3時) (レス) id: d41c4bfd58 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 式さん» その案名案ですね!!そうします!!暖かいコメントもありがとうございます(´∇`) (2018年8月7日 8時) (レス) id: 270593a483 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜 亜琉麻(プロフ) - 上でお願い申し上げます! (2018年8月7日 2時) (レス) id: e742954296 (このIDを非表示/違反報告)
璃奈 - 上でよろしくお願いします。 (2018年8月6日 22時) (レス) id: 9d081775ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 上で、式さんのような感じがいいです。続き楽しみにしてます (2018年8月6日 14時) (レス) id: 01a97476ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/  
作成日時:2018年5月5日 21時

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