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46 治癒 ページ1

「まだこちらに来て状況を確認していないのですが…貴方が第一発見者ですか?」


警察手帳を仕舞いながら私に尋ねる彼。


『いえ。』

「僕だよ!目暮警部!」

「コ、コナン君!?」


どうやら、この二人は知り合いのようでコナン君が手を挙げて存在を強調していた。

事件の概要を話している隙に、上村さんを手当している清光に目を向ければ、彼は必死に止血をしていた。
しかし、慣れない事で殆ど止血は出来ていないようだ。
それを見ているみっちゃんも冷や汗を流している。


『かして、清光』

「ごめん、主……役立たずで…」

『なぁーにしょぼくれてるの?いつもは私の役目なんだから仕方が無いでしょ?』


よく頑張ったね。と言って頭を撫でてあげると、安心したようで目を細めた。
それを合図に立ち位置を入れ替えて、とりあえず腕に付着した余計な血液を彼の裂いたシャツで拭き取る。

…血管を切られている…今すぐ処置しないと彼は…

警察が来ているなら、救急車も来ているはずだと思い、辺りを見回すが救急隊員の姿は見られない。

さっきの遺体を運ぶための一台しか来てなかったのか!

その救急車は先程ここを発ち、今頃は病院に搬送されている頃だろう。
だが、今から別の救急車を呼んでいたら彼は助からない。

人が多いがやるしかないか…

そう思いながら、顔を蒼白にさせた彼を地面に座らせる。


『光忠、清光、隠して。』


これから私が何をしようとしているのかを察した二人は、軽く頷いて私と彼の肩に手を置いた。
彼らは小さく呪を唱える。


「何を、なさったんです?」

『今、我々以外の人達は我々の事を認識しづらくなっています。』


懐に忍ばせていた式の紙を手で破いて、長方形の形に形成する。


「それは、どう、いう…」

『すみません、少し痛みますよ』


問いかける彼をスルーしてそれを彼の傷に覆い被せ、押し付ける。
激痛が走り、顔を歪めて呻き声を上げる上村さん。


『例えて言えば、影ですよ。』

「影?」


紙に指を当てて呪を唱えれば、紙に血が滲み「癒」という文字が浮かび上がる。
次の瞬間、彼の腕は緑色の淡い色に包まれ「癒」の字が解けるように消えていく。

完全に消えて紙を剥がせば、そこには傷はもう存在していなかった。
上手くいった事に安慮のため息が出た。
その光景に上村さんは目が飛び出るぐらい驚いて、私と傷があった場所を交互に見る。

47 捕まった→



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あごしわ - コナンって光合成みたいに推理しなきゃ逝っちゃう呪いでもかかってるんじゃないかなって思う時がある。 (2020年1月1日 3時) (レス) id: d41c4bfd58 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 式さん» その案名案ですね!!そうします!!暖かいコメントもありがとうございます(´∇`) (2018年8月7日 8時) (レス) id: 270593a483 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜 亜琉麻(プロフ) - 上でお願い申し上げます! (2018年8月7日 2時) (レス) id: e742954296 (このIDを非表示/違反報告)
璃奈 - 上でよろしくお願いします。 (2018年8月6日 22時) (レス) id: 9d081775ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 上で、式さんのような感じがいいです。続き楽しみにしてます (2018年8月6日 14時) (レス) id: 01a97476ef (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/  
作成日時:2018年5月5日 21時

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