７１ 主の言葉 ページ26
『やめなさい、清光』
「主！」
歓喜の声を上げる大和守に、加州がキッと睨みを効かせるがそれに慣れている彼は微動だにせず溜息をついた。
「…なんで、そいつを庇うのさ！毎回毎回そいつのせいで危ない目に遭って…主もお人好し過ぎるよ」
『前にも言ったはずよ。彼に危害を加えるのは許さないと。…まさか、殺そうとするだなんて』
わめく加州を背に、Aは負傷しているコナンの腕に上村の時と同様に、腕の傷に当てた紙に指を当てて呪を唱えれば、紙に血が滲み「癒」という文字が浮かび上がる。
次の瞬間、彼の腕は緑色の淡い色に包まれ「癒」の字が解けるように消えていく。
それを剥がせば傷は何処にも見当たらず、当の本人は目をぱちくりさせた後何故かAの事をキッと睨み上げる。
「……僕の傷、どうやって治したの？なんで治したの？」
『子供が怪我をして放っておく大人がいるとでも？』
その言葉にコナンは眉をひそめて、数歩Aから離れて距離をとる。
「……清光さんは僕にとって敵だと言ってたよ？なのに、なんで敵であるAさんが助けてくれるの？何を企んでいるの？」
『…清光…また誤解が生じてる気がするんだけど？何を言ったのかしら？』
はぁと大きな溜息をついて頭に手をやり加州に振り返る彼女。
その加州は、別に…とそっぽを向いて何も言おうとはしない。
今更になって反抗期か…
と再び溜息をついて、とにかく話をしよう。とコナンに言おうと振り返った刹那、Aの首元にチクリという痛みが走った瞬間襲われる凄まじい眠気。
かろうじて見える視界に映るのは腕の時計のカバーを彼女に向けるコナンの姿。
油断した。麻酔銃だったか…
そう思いながら膝から崩れ落ちるAに真っ先に気付いた大和守が一瞬で主を抱きとめる。
「っ！！主っ！！主！！！」
揺さぶっても目を開けない彼女を見た二振りは怒りで震える。
加州は腰の刀を抜刀し、コナンに向かって歩き始めた。その光景を見て逃げようとする彼だが、加州と目が合った瞬間再び金縛りにあったかのように体が動かない。
加州がその子供を切り裂こうと止めに入る気は無かった大和守だったが、残っていたほんの少しの理性で彼女の言葉を思い出す。
彼に危害を加えるのは許さない。
主はなぜか、どんなに危険な目に遭ってもコナンを殺そうとしなかった。ましてや、記憶操作さえもしなかった。きっとそこには主の考えがあるのだと瞬時に理解した。
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あごしわ - コナンって光合成みたいに推理しなきゃ逝っちゃう呪いでもかかってるんじゃないかなって思う時がある。 (2020年1月1日 3時) (
レス) id: d41c4bfd58 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 式さん» その案名案ですね！！そうします！！暖かいコメントもありがとうございます(´∇｀) (2018年8月7日 8時) (レス) id: 270593a483 (このIDを非表示/違反報告)
黒桜 亜琉麻(プロフ) - 上でお願い申し上げます！ (2018年8月7日 2時) (レス) id: e742954296 (このIDを非表示/違反報告)
璃奈 - 上でよろしくお願いします。 (2018年8月6日 22時) (レス) id: 9d081775ee (このIDを非表示/違反報告)
裕(プロフ) - 上で、式さんのような感じがいいです。続き楽しみにしてます (2018年8月6日 14時) (レス) id: 01a97476ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朧月 | 作者ホームページ：http://fblg.jp/510814/
作成日時：2018年5月5日 21時
