33 強引 ページ35
瞬きをして次の光景に思わず息をするのを忘れた。
「…その辺でやめてはくれぬか?」
「君たち雅に欠けるね。美しくない。」
「主君に触らないで頂きたい。」
一瞬で現れた彼らの中で見覚えのある人がいた。
俺の首筋に刀を押し当てている彼だ。
名前は確か、前田と呼ばれていた…。
それにしても、前田さんはともかく他の二人の服装は明らかに可笑しい。
現代ではあまり見られない着物を着こなしている。
少しでも動けば動脈を切られてしまいそうで動くことが出来なかった。
安室さんも同じく紫の髪をした男性に刀を突き付けられていた。
そんな時、彼女がゆっくりと目を開けてこの状況を眺めていた。
「っ……貴方達は…」
安室さんの声でこの状況を飲み込んだのか、サァーと血の気が引いたような顔を見せて、店内を見渡して安心した表情をのぞかせた。
なんで安心しているんだろう?
「15cm以上の刃渡り…お兄さん達、銃刀法違反だよ。」
背中に冷や汗が伝うのを感じながらも声を張り上げるが、彼らから伝わる殺気が消えることはなかった。その殺気から自分の死を身近に感じて俺と安室さんは生唾を飲み込んだ。
『…やめなさい。二人とも。』
凛とした声で彼女が彼らに言うと、刀を向けている二人は更に殺気を放ち首に刀を押し付ける。
おいおい、これじゃあ逆効果じゃねえか。
「何故ですか主君!?」
「どう見ても主に敵意があったと思うけど?」
納得がいかないようで声を荒げる二人。
一向に刀を納めない彼らにどう対処しようかと考えている中、再び彼女が口を開いた。
『確かに助かったのは事実です。ありがとう。けれど、私は抜刀の許可を出した覚えはありません。……直ちに納めなさい。』
彼女が言えば必ず従うだろうと高をくくって安心していると、悔しそうに俺を睨みつけるだけで納めようとしない。
『……刀を納めなさい。』
先ほどの柔らかい口調とは打って変わり、低く厳しい声でそう言われた彼らは渋々刀を鞘に納めた。
数歩下がるがその手はいまだに柄に添えたままだった。
それを横目に見ながら彼女は頭を下げた。
『……お騒がせしました。』
帰ろうとする彼女に安室さんが話しかける。
「…貴方達は一体どういう関係なんですか」
『…ただの同僚ですよ。』
意味深な言葉を残して彼女は店を出て行った。
一人の男性が立ち止まり
「主を何と勘違いしたかは知らんが……次は無いぞ?」
底なしの恐怖に心臓を掴まれた気がした
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朧月(プロフ) - 名無しさん» 当時の私が設定で考えていた事は、この不死ノ少女が続編に行く前は、2017年生まれであっても現在の西暦は伏せていたためそのようにしました。なので、続編では初代がコナンに本当の歳を話して西暦は明らかになっています。 (2018年11月17日 12時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 年齢不詳なのに生まれた年が2017年の設定なんですね (2018年11月16日 23時) (レス) id: 29bc82e604 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - かなみさん» 初めまして!ありがとうございます!!これからも楽しんでいただけるように頑張ります(^-^) (2018年5月3日 17時) (レス) id: 270593a483 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - ミッテさん» 大好きと言って頂きありがとうございます!そうですね、二人は何でもかんでも組織の人間って考えるのを直すべきですよね笑 (2018年5月3日 17時) (レス) id: 270593a483 (このIDを非表示/違反報告)
かなみ - 初めまして…このお話大好きです続きを楽しみにしてます。誤解が早く速やかに解けますように(笑) (2018年5月2日 15時) (レス) id: 48cf8ea98d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2018年4月15日 23時