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14 人間失格 ページ16

虎は、太宰の頭・足・胴体を狙い、前足で切り裂く…がその鋭い爪は獲物にありつくことは無く、悲しい程に空を切る。
彼の身のこなしを少女は冷たい眼差しでただただ見下ろす。


「おっと」


避け続けていれば、背には冷たい壁。
太宰はついに虎と壁に挟まれてしまう。

けれど、虎を捉える彼の瞳は少女同様に冷たい眼差しであった。


「虎に食い殺される最後というのも中々悪くはないが」


ふいに彼は、ポケットに入れていた両手の内、片手を伸ばし目の前に迫る虎に触る。


「君では私を殺せない」


次の刹那、虎は眩い光に包まれ元の少年へと姿を変えた。


ー人間失格ー
あらゆる他の能力を触れただけで無効化にする能力。


それが太宰治という男の持つ異能力だった。

少年に戻った彼は、その反動で意識を失ったのか、太宰に向かって体が傾き、彼の胸に飛び込んでしまう。

一時は受け止めた太宰だが


「男と抱き合う趣味はない」


と云うと、敦を躊躇なく離し彼は地面に倒れ込んだ。


「それで?君はどうする気だい?」


振り返った先には、音もなく立ちつつ敦を見下ろすAがいた。


『へェ…一応興味はあるンだ』

「…そりゃあね」


彼女は、太宰には目もくれず通り過ぎると、倒れている敦に向かってしゃがみ込む。
気を失っているのか。と呟いた彼女の肩に、後ろから太宰は手を置いた。


『…この手離してくれる?私の異能が使えない』

「なら、尚更離すわけにはいかないねぇ。君の目的を話して貰うまで」

『話したところで貴方がこの手を離すとは到底思えないンだけど?』


ジロリと向けた目で太宰を捉えるが、幹部だった頃の表情を浮かべる彼にAは溜息をこぼした。


『その顔しても無駄。私は口が硬いって知ってるでしょ?()幹部殿』

「…という事は、やはり君は今マフィアとしてここにいるのか。お目当てはその少年かい?」


無言を貫くAに太宰は続ける。


「ポートマフィアに利潤を得る話があって、敦君は欠かせない…違うかい?…確かに彼の異能はマフィアが一目を置く様な逸材だ。けれど、唯の勧誘なら私と出会う前にとっくにいい話があると彼を釣っているはず。なのに君はそれをしなかった…つまり残る答えは一つだけだ。


巨額な懸賞金でもかけられていると私はみた」


ああ、この男は本当に厄介だ。とAは頭が痛くなった。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 文スト   
作品ジャンル:アニメ
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マナ(プロフ) - とても面白かったです!!続きがすごく気になる…頑張ってください!応援してます!! (2020年8月25日 19時) (レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - かりんとうさん» こんにちは。楽しみにして頂いてありがとうございます...ただ、中々更新出来ず申し訳ないです(汗) (2019年5月21日 8時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - こんばんは、とても面白くてこの先に広がるこの作品をとても楽しみにしています!これからも頑張ってください!!! (2019年5月7日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 音奏さん» その様に言って頂きとても嬉しいです(^-^) 更新頑張ります。 (2019年5月1日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
音奏 - このような、素晴らしい作品を作れるなんてとても凄いです。続き、楽しみにしています。 (2019年5月1日 16時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/  
作成日時:2019年4月29日 17時

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