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11 敦の過去 ページ13

「む、無理だ!!奴に人間が適うわけがない!」


持ち上げる国木田に敦が声を荒らげる。
その様子に国木田は眉をピクリと上げた。


「貴様、人食い虎を知っているのか?」

「あいつは僕を狙っている!殺されかけたんだ!逃げないと!!」


興奮状態に陥った敦は、国木田の手から離れると、一気に走り出そうとする。

だが、敦の体は動かなかった(・・・・・・)

その直後に、国木田は彼の腕を掴むと床に叩きつけた。
一瞬の出来事に、国木田は気づかなかったが、敦と太宰はその異変に気づいた。


「云っただろう。武装探偵社は荒事専門だと。茶漬け代は腕一本か、もしくは凡て話すかだな。」


冷たく言い放つ国木田に、敦は怯えた。


「まあまあ国木田君。君がやると情報収集が尋問になる。社長にいつも云われてるじゃないか」

『…まるでマフィアみたいですね』


二人の言葉が気に入らなかったのか、国木田は「ふん。」と鼻を鳴らすと、敦から手を引いた。

腕を痛そうにさする敦に、太宰は近付いてしゃがんだ。


「それで?」


笑顔で問いかける太宰に、敦は思い口を開いた。

孤児院時代に、畑は荒らされ、倉も吹き飛ばされた事。それが原因で自分が口減らしに追い出された事。
院長先生からの暴言などなど、敦は語った。


「…そりゃ災難だったね」

『ご愁傷様です』

「それで小僧。殺されかけたと云うのは?」


国木田の鋭い視線に貫かれながらも、敦は机に拳を叩きつけながら続けた。

自分の事をあの虎が追いかけてきた。

その事実に太宰は興味深そうに顎に手を置いた。


「それ、いつの話?」

「院を出たのが二週間前、川であいつを見たのが…四日前」


隣の国木田が、「確かに、虎の被害や目撃証言と一致する」と、敦の言葉に裏付けを取った。

それを踏まえて太宰はさらに何かを考え込む。

その姿を見たAは、一人焦る。
きっと、太宰の頭の中で敦が虎だと既に仮定されている事だろう。けど、この仮定を真実にするためには、立証が不可欠。
確かめるために何かをするはずだ。

そう思った彼女は、口を開いた。


『このまま帰るのが何だか怖いので、太宰さんに付いていても良いですか?』


彼女がわざと青白い顔をすれば、国木田は肯定する。
本来なら自分と共に居た方が安全だろう。しかし、太宰は元上司。彼と居た方が安心するに違いない。

国木田が親切に思った事は、少女の想定内であった。

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作品ジャンル:アニメ
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マナ(プロフ) - とても面白かったです!!続きがすごく気になる…頑張ってください!応援してます!! (2020年8月25日 19時) (レス) id: da5e25c6ab (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - かりんとうさん» こんにちは。楽しみにして頂いてありがとうございます...ただ、中々更新出来ず申し訳ないです(汗) (2019年5月21日 8時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
かりんとう(プロフ) - こんばんは、とても面白くてこの先に広がるこの作品をとても楽しみにしています!これからも頑張ってください!!! (2019年5月7日 21時) (レス) id: f31ecb66db (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 音奏さん» その様に言って頂きとても嬉しいです(^-^) 更新頑張ります。 (2019年5月1日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
音奏 - このような、素晴らしい作品を作れるなんてとても凄いです。続き、楽しみにしています。 (2019年5月1日 16時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/  
作成日時:2019年4月29日 17時

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