もし、死が訪れるならば *ましろ様リク ページ34
『………あ』
縁側で日の光を浴びていたAは、体内で何かが崩れる音を聞いた。
それと同時に、太陽の光が陰ったような気もすると、空を仰ぐ。
次の刹那、近くからピシッと何かかがひび割れた音が耳に入った。
音の正体を確かめようと、辺りを見回すがそれらしきものは見当たらず、はて。と首を傾げる。
_____ピシッ
再度鳴るその音が自身の首からしたのだと、気付いたAは自分の首に手を当てる。
すると、顎から鎖骨にかけて亀裂が走ったかのような感触に彼女は目を丸くした。
___ピシピシッ
次に視界に飛び込んできたのは、自身の手に走る複数の亀裂。そして、ポロポロと亀裂の隙間から砂の様に崩れ落ちていく光景。
痛みはない。違和感もない。ただただ崩れていくその感覚に、Aは何もかもを察した。
『こんのすけ』
ボンッと煙の中から、現れたのは彼女の筒狐であるこんのすけだ。
初代のその姿に、こんのすけは目をパチクリさせると、毛並みが逆立つほど驚き彼女の元へと駆け寄った。
「あああああ、主様!!どうしたのですか!?」
『彼が…陸也が死んだみたい』
今まで見たことのないその驚き様に、彼女はクスッと笑うとこんのすけの頭に崩れかけている手を乗せる。
『なので、私はもう、お役御免の様です。せめて、最後に皆に一言申したいけれど…どうやらその時間も与えてはくれないようですね』
「ならば一刻も早く医療機関に!!」
走り出そうとするこんのすけの尻尾をぎゅっと掴み、静止させるがその反動で彼女の片手は粉々に崩れ砂となった。
それを見たこんのすけの目から、ポロポロと涙が流れ落ちる。
『こんのすけ、皆に伝言を頼みます。「長い間私に仕えてくれた事、心から感謝致します。勝手に逝くことを許してほしい。本当に、ありがとう」と。……それと、陣内殿にこの本丸の権限へ変更しておいて』
「……主様」
『こんのすけ、君もずっと…ずっっっと一緒にいてくれてありがとう』
彼女の両目から流れ落ちる涙さえも、砂に変わり地面に降り積もる。
縁側に倒れ込んだ初代に、優しくすりすりと頬を擦り付けるこんのすけが、キュィといつもは聞かない鳴き声を上げた。
もう、死ぬな。と目を閉じた時、「主?」と彼女の初期刀の声が聞こえた気がして、ゆっくりと目を開けた。
「主!!!」
手に持っていた茶と菓子をひっくり返して加州は、Aに駆け寄った。
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都花 - 「五人は仲良く手を繋ぐと、眩しい程の光の中へと消えていった」で涙がが出た…この話とても好き…! (2020年8月31日 23時) (レス) id: e0ab5d8073 (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - 鬼滅とコナンと刀剣のクロスミックスかぁ。面白い (2020年4月28日 8時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - ましろさん» リクエストありがとうございます。期待に添えるように頑張ります(^-^) 本編の方も何周もして頂きとっっても嬉しいです!ありがとうございます、更新頑張ります! (2020年1月15日 0時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - リクエスト失礼します。もしもの話で「天国で5人が再会したら」と「りくやが本丸に遊びに来たら」という内容のものをお願いします。 本編の方も何周も読みました。とっても大好きです。いつまでも更新楽しみに待ってます。よろしくお願いします。 (2020年1月12日 10時) (レス) id: 1d5253b3c1 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - ベルさん» ありがとうございます!頑張って更新します(`▽´) (2019年12月18日 22時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2019年4月29日 15時