不死ノ少女 外伝 【名探偵コナン×刀剣乱舞】

＊ ページ32

「霊力が変わったと思い来てみれば、あの子がいないではないか」


襖を開いた人物に一同が驚きで、声も出ずに固まった。


「しょ、初代様！？」


勢いよく立ち上がった紅は、驚きで口に手をあてた。
そう、Aがそこにいたのだ。正確には、彼女の容姿をしたヒトが立っていた。
辺りを見回し、刀剣男士達の中に加州を見つけると指をさす。


「加州清光、あの子はどこだ？隠したのか？」


金色の両目と金の髪で加州は瞬時に、目の前の彼女が本人ではなく、天照大御神だという事に気付く。


「天照大御神…なにその姿。ふざけてるの？」

「妾が最後に憑いたのがあの子だからな。人間の形になろうとすれば自然とこうなる」


加州が恐縮もせずに話す姿に、紅と他の刀剣男士達は目を丸くする。


「あの子はどこにいる」

「どこにもいないからこんな事になってるんでしょ」


加州の言葉に、天照大御神は舌打ちをすると、ずかずかと紅の前に進み出る。


「お、お初にお目にかかります。初代様代理の紅と申」

「お主ではあの子の変わりは務まらん。立ち去れ」


ピシャリと言い放つ天照大御神に紅は、目を見開いた。


「お言葉ですが、天照大御神様。初代様が不在の今代わりの審神者が必要なのです」


下からこんのすけが天照大御神を見上げて冷や汗を流しながらも講義をする。


「式神か…少し黙っていろ」


彼女が手をかざすと次の瞬間、こんのすけは紙に戻っていた。
そして、踵を返し庭に下り立つと、空を見上げて目を瞑った。

次の刹那、彼女の髪が金色に輝きだし辺りも神々しく輝きだした。
光から目を腕で隠し、加州は天照大御神に問う。


「何をしてっ！！」

「あの子を探している。この世界にはいないとすれば、別の世界か平行世界に飛ばされたの二択であろう」


そんな事が出来るのかと、驚きを隠せないでいると、「いた」と小さく声を漏らした。
そして、光が徐々に消えていき、腕をどけると呆けた顔をした五人がそこに座り込んでいた。


『…帰ってこられた…？』

「どんくさい奴よの」


後ろに立っている天照大御神を上から下まで見つめると、Aは頭を傾げた。


『…ドッペルゲンガー？？え、私死ぬの？』

「…馬鹿者」


ポカッと頭を殴られると、天照大御神は微笑みながらスゥっと消えていった。
『え、本丸だよね？』と辺りを見回す彼女に、刀剣男士一同は目に涙を溜めて主に抱きついた。

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