不死ノ少女 外伝 【名探偵コナン×刀剣乱舞】

＊ ページ31

各時代から調査に向かった短刀、脇差が全員返ってくると、紅は大広間に全刀剣男士を集めた。


「皆様、お初にお目にかかります。初代様の代理として遣わされました、審神者の紅と申します」


上段に座りつつも、丁寧な口調に笑顔を絶やさない彼女に、刀剣男士たちは相変わらず睨みの一手である。
初代の本丸を保つために、代理として派遣されたこと、今まで通り出陣すること、自分に気にすることなく日常を送る事など、紅は一から説明をした。


「初代様が帰還なされるまで、どうぞ皆様よろしくお願い致します」


ピリピリとした空気の中、最初に口を開いたのは包丁だった。


「…なんか、胡散臭い」

「包丁様？」


包丁の言葉に、紅は首をかしげる。


「だって、主は政府に邪険にされてた！その政府がこの機会を逃すほど馬鹿じゃないと思うんだよね」

「主さんが不在の今、貴方を使ってこの本丸を乗っ取ろうとしているんじゃないですか？」

「まぁ、あの対応の早さじゃ信用も何もねぇな」


包丁、堀川、和泉守の順で彼女に異議を申し立てる。
他の刀剣男士もうんうんと力強く頷いた。


「皆様の言いたいことは分かります。ですが、初代様の本丸を支配だなんて、恐れ多い事です」


悲しそうに眉を垂らす彼女。
静まり返る室内で、高らかに笑い声を上げる刀剣がいた。


「はっはっは。なに、言葉では何とでも言えよう。人間とは簡単に嘘をつく。故に、我らはぬしの話を信頼することはない」

「…信頼して頂かなくて結構です。私は繋ぎにすぎません。私は居ないものと扱い下さい」

「繋ぎ…か。ぬしにそれが務まれば良いがな」

「御心配には及びません。初代様が行われている政務は全て頭に入っています」

「そうではない。あやつをお主が対処できるのか…の話だ」


三日月が笑っていた目を薄っすらと開けると、紅は背筋に寒気が走った。
同時に、その場にいた一同にも緊張が走る。

あの陸也を対処できるのは、Aだけだと刀剣男士達は思い出す。
代理がいると知れたら、遡行軍が仕掛けてきても可笑しくないと冷や汗が背を流れる。


「あやつ…ですか？」


何のことか分からない様子の紅に、三日月はフッと笑う。


「こちらの話だ。代理殿は自分の命を守る事だけ考えれば良い」


三日月が静かに立ち上がると、皆も一斉に立ち上がり始めた。
皆、再び配置につけ。と三日月が指示すれば早足で立ち去ろうとする。

すると、廊下から誰かの足音が聞こえ皆が柄に手を添えた。

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