検索窓
今日:22 hit、昨日:5 hit、合計:36,989 hit

ページ25

炭治郎の刀をパッと離した彼女は、数歩後ろへ下がり彼をまっすぐ見つめた。
当の本人は、苦しそうな顔でAを見つめ返し、口を開く。


「…俺は、一人の隊士として貴女方を見逃す事はできない」

『貴方は先程、我々を鬼だと言いました。けれど、それは違います』


落ち着いた口調で淡々と話す彼女に、炭治郎は不思議そうな顔をする。
それもそうだ。鼻のきく彼にとって、彼女から流れてくるのは、とても優しく純白のような匂いであった。

平気で嘘をつくような鬼とは全く違う、正反対の匂いだと理解する。

けれど、その根本であるヒトの匂い(・・・・・)がしないのだ。
例えるのなら、鬼舞辻無惨と出会った時に嗅いだあの匂い。
鬼の匂いに紛れて嗅いだ、ヒトではない独特なあの匂いに、彼女は限りなく近かった。

それに、彼女らから香る微かな鬼の匂い。
富岡から聞いた話によれば、自身の鬼の気配を消せる血鬼術もあるという。

耳の良い善逸が言った、あのら「変な音」も関係していると炭治郎は思う。
主と慕う彼女こそ、鬼の本体なのでは?との結論に至る。

炭治郎は、ギュッと目を瞑ったあと、頬を己の手で思いっきり叩いた。
そして、カッと目を見開くと、刀の柄をギュッと握り直す。


「敵意が無いのなら、何故伊之助を襲った!?」


叫びながら、未だに伸びている猪を指さし炭治郎は続ける。


「もし、鬼で無いのなら無意味に攻撃しないはずだ!」


息巻く彼に、膝丸は不機嫌そうに眉がピクリと反応する。


「ほぅ……何があったか知ろうともせず、真っ先に我らを疑うと言うのだな?小僧」


獲物を狙う虎のような眼光に、隣にいる髭切画まぁまぁと膝丸の肩を叩く。


「…どういう」

『彼を気絶させてしまったことには謝罪します。けれど、先に手を上げたのはそこの彼。我々はそれに対応したにすぎないのです』


審神者は懐から、薬研を取り出し彼に見せた。
その短刀を見た炭治郎は、目を丸くした。


「それは伊之助が拾った刀…」


炭治郎は、先程の光景を思い出していた。

*→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (61 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
151人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

都花 - 「五人は仲良く手を繋ぐと、眩しい程の光の中へと消えていった」で涙がが出た…この話とても好き…! (2020年8月31日 23時) (レス) id: e0ab5d8073 (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - 鬼滅とコナンと刀剣のクロスミックスかぁ。面白い (2020年4月28日 8時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - ましろさん» リクエストありがとうございます。期待に添えるように頑張ります(^-^) 本編の方も何周もして頂きとっっても嬉しいです!ありがとうございます、更新頑張ります! (2020年1月15日 0時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - リクエスト失礼します。もしもの話で「天国で5人が再会したら」と「りくやが本丸に遊びに来たら」という内容のものをお願いします。 本編の方も何周も読みました。とっても大好きです。いつまでも更新楽しみに待ってます。よろしくお願いします。 (2020年1月12日 10時) (レス) id: 1d5253b3c1 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - ベルさん» ありがとうございます!頑張って更新します(`▽´) (2019年12月18日 22時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/  
作成日時:2019年4月29日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。