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炭治郎の刀をパッと離した彼女は、数歩後ろへ下がり彼をまっすぐ見つめた。
当の本人は、苦しそうな顔でAを見つめ返し、口を開く。
「…俺は、一人の隊士として貴女方を見逃す事はできない」
『貴方は先程、我々を鬼だと言いました。けれど、それは違います』
落ち着いた口調で淡々と話す彼女に、炭治郎は不思議そうな顔をする。
それもそうだ。鼻のきく彼にとって、彼女から流れてくるのは、とても優しく純白のような匂いであった。
平気で嘘をつくような鬼とは全く違う、正反対の匂いだと理解する。
けれど、その根本である
例えるのなら、鬼舞辻無惨と出会った時に嗅いだあの匂い。
鬼の匂いに紛れて嗅いだ、ヒトではない独特なあの匂いに、彼女は限りなく近かった。
それに、彼女らから香る微かな鬼の匂い。
富岡から聞いた話によれば、自身の鬼の気配を消せる血鬼術もあるという。
耳の良い善逸が言った、あのら「変な音」も関係していると炭治郎は思う。
主と慕う彼女こそ、鬼の本体なのでは?との結論に至る。
炭治郎は、ギュッと目を瞑ったあと、頬を己の手で思いっきり叩いた。
そして、カッと目を見開くと、刀の柄をギュッと握り直す。
「敵意が無いのなら、何故伊之助を襲った!?」
叫びながら、未だに伸びている猪を指さし炭治郎は続ける。
「もし、鬼で無いのなら無意味に攻撃しないはずだ!」
息巻く彼に、膝丸は不機嫌そうに眉がピクリと反応する。
「ほぅ……何があったか知ろうともせず、真っ先に我らを疑うと言うのだな?小僧」
獲物を狙う虎のような眼光に、隣にいる髭切画まぁまぁと膝丸の肩を叩く。
「…どういう」
『彼を気絶させてしまったことには謝罪します。けれど、先に手を上げたのはそこの彼。我々はそれに対応したにすぎないのです』
審神者は懐から、薬研を取り出し彼に見せた。
その短刀を見た炭治郎は、目を丸くした。
「それは伊之助が拾った刀…」
炭治郎は、先程の光景を思い出していた。
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都花 - 「五人は仲良く手を繋ぐと、眩しい程の光の中へと消えていった」で涙がが出た…この話とても好き…! (2020年8月31日 23時) (レス) id: e0ab5d8073 (このIDを非表示/違反報告)
絵理奈(プロフ) - 鬼滅とコナンと刀剣のクロスミックスかぁ。面白い (2020年4月28日 8時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - ましろさん» リクエストありがとうございます。期待に添えるように頑張ります(^-^) 本編の方も何周もして頂きとっっても嬉しいです!ありがとうございます、更新頑張ります! (2020年1月15日 0時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - リクエスト失礼します。もしもの話で「天国で5人が再会したら」と「りくやが本丸に遊びに来たら」という内容のものをお願いします。 本編の方も何周も読みました。とっても大好きです。いつまでも更新楽しみに待ってます。よろしくお願いします。 (2020年1月12日 10時) (レス) id: 1d5253b3c1 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - ベルさん» ありがとうございます!頑張って更新します(`▽´) (2019年12月18日 22時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2019年4月29日 15時