検索窓
今日:2 hit、昨日:17 hit、合計:161,832 hit

138 見本 ページ9

初代は何も意味もなくやってみろと言ったわけではない。
こういう人間には、経験して苦い思いをしない限り考えは変わらないと知っていたためだ。

その彼女の周りの生徒は口々にやめておけ、やれやれと様々な声を発した。

その一方で、隣であたふたと落ち着かない学園長を落ち着かせ、彼女は髪飾りから宗三左文字の鈴を取り顕現させる。
桜が舞い散る中、刀剣男子が現れると生徒たちはドッと歓声が上がった。


『話は聞いてたわよね?』

「ええ、もちろん。」


そういうと、彼は自身の刀を差しだしその刀身に身を隠した。
まるで、宗三左文字を初めて手にしたようだ。


『刀から顕現させる時は、簡単に言えば刀身に霊力を全体に注ぎ込む。隅々までね。』


初代が目を瞑り、霊力を流し始めてすぐに彼女の姿は一面の花びらで見えなくなった。
そして次の刹那、その舞い散る花弁の中に人影が現れた。


「……宗三左文字と言います。貴方も、天下人の象徴を侍らせたいのですか……?」


皆がぽかんと口を開ける中、初代もぽかんと口を開き宗三を見つめていた。


「なんです?そのみっともない表情は。」

『あ、いや...まさかそこまでやってくれるとは思わなくて...』


溜息をつくと、お役御免ですね。と言い残し刀を取り上げ再び初代の髪飾りへと戻っていった。

それを見ていた当の彼女は、真剣な表情で初代を見つめていたかと思うと、切ない笑みを浮かべると目の輝きは消え静かに席に座り込んだ。


『...やめるの?』

「はい。初代様の実演を見て、私にはまだ一定の量の霊力を注ぐ(・・・・・・・・・・)ような力量はありません...。」

『そう。』


彼女も審神者の卵といえども、初代がどのように霊力を操り顕現させたのか、痛いほど隅々まで分かってしまった。
刀身全体に注ぐ一定の量の霊力。
強弱など許されない。例えば1から10の数字があったとして、顕現させるまでずっと5を保たなければならない。
その高い技術力に、自分の技術では到底届かないと悟った。

初代としては、その重要性に気付いたことの観察眼に感心した。
今年の代は優秀な生徒が多いと安心さえしていた。


そのまま授業は進み、やがて休み時間となった。

139 発想が怖い→←137 チャレンジ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (231 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1427人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Aqours?(プロフ) - 素晴しい小説を有難う御座います。本当にストーリーの構成やキャラクターの発言において全て読みやすいうえに解釈一致でした…改めて素晴しい作品を有難う御座いました。 (2023年5月1日 3時) (レス) id: f32673621d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいましたw素晴らしい小説を作っていただきありがとうございます!!!! (2022年12月20日 12時) (レス) @page48 id: 3ad15612f6 (このIDを非表示/違反報告)
雪モチ(プロフ) - 1話から一気読みして来ました!ホントに面白くて時間をいつの間にか忘れるほどでした(笑)このような素晴らしい小説を作っていただき読まさていただきありがとうございます。完結おめでとうとございます!お疲れさまでした!! (2021年12月1日 19時) (レス) @page48 id: 920125ce92 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - こんばんは☆初めましてm(_ _)m刀剣乱舞アニメやゲーム大好きでコナンとのコラボ短編を含め全て読ませて頂きました(^ν^)ただ全体的に所々ではありますが誤字脱字が御座いましたので^^;御報告させて頂きますね。それではこれからも応援しております( ´ ▽ ` ) (2020年2月22日 19時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 雪羅さん» 雪羅さんお久しぶりです!いつも暖かいコメントありがとうございます。中々更新できませんが、これからもよろしくお願いします。更新頑張ります(^-^) (2019年8月21日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/  
作成日時:2018年9月29日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。