176 またね ページ47
パンッと両手を合わせれば、スプリンクラーで水浸しの館内があっという間に乾く。
血だらけの中庭も何事も無かったかのように、元に戻っていた。
その事に、コナンは目をパチクリする。
「これで、我も解放だな。」
『はい。ありがとうございました。』
寂しそうに、コナンが顔をふいて地面をら見つめていると、その視界に彼女の手が映りこんだ。
握手しよう。と手を差し出してきたのだ。
コナンはそれを躊躇いもなく掴んだ。
『きっと君は優秀な探偵になるよ。』
「Aさんがそう言うんだから、心強いよ。」
コナンが笑ったのを見届けると、Aは手を離した。
そして、じゃあね。と言い残して手を振ると、コナンの前から白銀と共に一瞬で消え去った。
Aがいた場所を呆然と眺めるコナンは、今までの事を走馬灯の様に思い出していた。
現実離れした出来事に、コナンは苦笑を浮かべた。
大変ではあったけど、楽しかったとそう思いながら空を見上げる。
「どうか、お元気で。」
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一方のAは、大国主の社から街を見下ろしていた。
自分が生まれ育った街だ。名残惜しいのだろう。
大国主は、鳥居をくぐった刹那、人型に戻り社の中へと戻っていった。
彼女いわく、今まで寝られなかった分寝るらしい。
Aは一通り眺めると、両手を合わせた。
『消却せよ。全ては記憶の海原へ。忘却せよ。我に関する記憶全て。この意この理を承諾するのならば、我が願いを聞き届け給え。』
呪を唱え終えると、Aの脳内で、聞き届けた。と複数の声が響いた。
それを確認した彼女は、もう一度両手を合わせる。
すると、その手の間から波長の様なものが数回、辺り一面に広がっていく。
大規模な記憶消去が始まったのだ。
協力した神は、天照大神と大国主神。
天と地からの援助であれば、何処にいようとも成功する。
完全に波長が消え去ると、Aは大きな溜息をついた。
『さようなら。二千十七年…私の故郷…。』
Aは、優しい笑みを浮かべると、鳥居をくぐった。
自分の死なぬ体の本当の意味を知った彼女は、もう自決願望など湧かぬだろう。
むしろ、全ての真実を知りせいせいしているかもしれない。
ただ、心残りとしては、舞との約束を果たせないという事だろうか。
これは、初代といわれたとある不死ノ少女の物語。
『ただいま。』
終
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Aqours?(プロフ) - 素晴しい小説を有難う御座います。本当にストーリーの構成やキャラクターの発言において全て読みやすいうえに解釈一致でした…改めて素晴しい作品を有難う御座いました。 (2023年5月1日 3時) (レス) id: f32673621d (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいましたw素晴らしい小説を作っていただきありがとうございます!!!! (2022年12月20日 12時) (レス) @page48 id: 3ad15612f6 (このIDを非表示/違反報告)
雪モチ(プロフ) - 1話から一気読みして来ました!ホントに面白くて時間をいつの間にか忘れるほどでした(笑)このような素晴らしい小説を作っていただき読まさていただきありがとうございます。完結おめでとうとございます!お疲れさまでした!! (2021年12月1日 19時) (レス) @page48 id: 920125ce92 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - こんばんは☆初めましてm(_ _)m刀剣乱舞アニメやゲーム大好きでコナンとのコラボ短編を含め全て読ませて頂きました(^ν^)ただ全体的に所々ではありますが誤字脱字が御座いましたので^^;御報告させて頂きますね。それではこれからも応援しております( ´ ▽ ` ) (2020年2月22日 19時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 雪羅さん» 雪羅さんお久しぶりです!いつも暖かいコメントありがとうございます。中々更新できませんが、これからもよろしくお願いします。更新頑張ります(^-^) (2019年8月21日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2018年9月29日 22時