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165 アベック ページ36

以前にあった時とは違い、肌の色も髪の色も果てしなくヒト(・・)に近かった。目の色だけを覗いて。そして、何よりAと同じく、その姿は時を止めていた。人間でないのだから、当然かと彼女は納得する。
その彼は前髪から手を退けると、地面に置いてある地図を見つけ、面白そうに笑った。


「へぇ〜…結構腕、上げたのな。」

『…何のつもり?』


折角の再開なのに敵対心剥き出しかよ。と立ちあがってAを見下ろした。

ゾクリ__

彼女の背を得体の知れない恐怖が駆け登る。
次の刹那、Aの細い首に陸也の手が掴みかかる。


『…っ…う』

「久々の同期再開だ。場所を変えようか。」


優しい声とは裏腹に、手には強い力がかかり、彼は片手で軽々しくAを持ち上げる。
彼女は必死にその苦しみから逃げ出そうと抗うが、そうこうしているうちにAの足は地を離れた。


『……ぁ…な…にを……っ』

「ああ、苦しかったか?悪い悪い。」


何分力加減を忘れちまってな。

そう言う彼の声が、徐々に遠ざかり自然と瞼が落ちるA。
あともう少しで意識が途切れるという所で、陸也の手が離れた。

地面に叩きつけられ、その反動で意識がはっきりしたAは勢いよく咳き込む。
呼吸が落ち着き、顔を上げ視界に入った光景に彼女は一瞬、息が止まった。


『…なに…ここ……』


真っ白な空間に、硝子のような破片がそこら中に浮いて存在し、どちらが右か左なのか、どちらが前か後ろなのか分からない。
不思議な空間…そう、刀剣男士の神域の様に感じる。

当の連れてきた本人、陸也は不敵な笑いを浮かべ、両手を広げた。


「ようこそ。A。俺の愛しい片割れ(アベック)。」

『……………キモ』

「おい!そこはもっと違う反応があるだろ!!でないと俺が危ない男にしか見えないじゃん!」

『…いや、人間でない時点で既に危ない男だから。』


それに、私は君のアベックになった記憶は無いのだけれど?と冷たく陸也に返答するA。


「ひでぇな…」

『それはどうも』

「褒めてねぇ!……お前、舞に似たか?…」


くそぉと唸って頭を抱える陸也。

その彼に鋭い目線を向けるA。
そして静かに鞄から札を取り出し、印を構える。


『…何が目的?』

「なんだ、お前まだ気づいてないのか」


呆れた顔をしながら、一歩また一歩とAに近付く陸也。
それに反応して、彼女もまた後方へ一歩また一歩と下がる。

166 救出→←164 予想外



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Aqours?(プロフ) - 素晴しい小説を有難う御座います。本当にストーリーの構成やキャラクターの発言において全て読みやすいうえに解釈一致でした…改めて素晴しい作品を有難う御座いました。 (2023年5月1日 3時) (レス) id: f32673621d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいましたw素晴らしい小説を作っていただきありがとうございます!!!! (2022年12月20日 12時) (レス) @page48 id: 3ad15612f6 (このIDを非表示/違反報告)
雪モチ(プロフ) - 1話から一気読みして来ました!ホントに面白くて時間をいつの間にか忘れるほどでした(笑)このような素晴らしい小説を作っていただき読まさていただきありがとうございます。完結おめでとうとございます!お疲れさまでした!! (2021年12月1日 19時) (レス) @page48 id: 920125ce92 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - こんばんは☆初めましてm(_ _)m刀剣乱舞アニメやゲーム大好きでコナンとのコラボ短編を含め全て読ませて頂きました(^ν^)ただ全体的に所々ではありますが誤字脱字が御座いましたので^^;御報告させて頂きますね。それではこれからも応援しております( ´ ▽ ` ) (2020年2月22日 19時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 雪羅さん» 雪羅さんお久しぶりです!いつも暖かいコメントありがとうございます。中々更新できませんが、これからもよろしくお願いします。更新頑張ります(^-^) (2019年8月21日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/  
作成日時:2018年9月29日 22時

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