【刀剣乱舞×名探偵コナン】不死ノ少女 完結編

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『全く…』


気を失い廊下で伸びている麗華に、彼女は大きなため息を零す。
あの龍は直撃などせず、立っていた彼女の真横に落ちたのだ。

それにも関わらず、自身に落ちたのだと錯覚したのかあっけなく気絶した。


『ここのこんのすけはいるか？』


初代の問いかけに、ボンッと音と共に現れるこんのすけ。
Aの所とは違い、白いこんのすけだった。


『すぐに政府の者を寄こすよう手配を。』

「承知いたしました。」


こんのすけは頭を下げると、小走りで何処かへと向かった。

彼女は念のためにと懐から「封」と書かれた札を麗華に張り付けた。
それは自分で剥がすことが出来ず、見ることも出来ない。
これで万が一目が覚めてしまっても術を一切使うことは出来ない。


『ここの刀剣男士を広間に全員集めなさい。』

「…承知した。」


早足で本丸内へ向かう源氏兄弟の背を見て、Aは過去にいる自分の源氏兄弟が少々恋しくなる。けれど、それを吹き飛ばし自身のこんのすけに指示を仰ぐ。


『第五千八十四本丸審神者、麗華を解任。この本丸及び刀剣男士の所有権を私へ変更。』

「はい。直ぐにとりかかります。」


その後、源氏兄弟から皆を集めたと報告を受け、すぐさま広間へと向かった。

集められた皆が初代を捉えると、憎しみの色で染まった瞳に安堵の色が映り込む。


『長い間、辛い思いをさせて申し訳ありませんでした。今からこの本丸及び貴方達の所有権は私へと変更されました。新しく赴任する審神者は、私が責任をもって選別し当てようと思います。それまで時間がかかるでしょう。その間、どうか皆で心の傷を癒して貰いたい。』

「…あんたが残ってくれないのか？」

『私にも私の本丸…家族がいます。皆を迎えるわけにはいきません。申し訳ない。』


Aの言葉に刀剣男士達は頭が下がり項垂れる。
その姿を見て、心を痛める彼女だが心を鬼にして懐から式を出す。

息を吹きかければ、数多の蝶へと変化し、さらに呪を唱えるとボウッと青い炎を蝶が纏う。
両手をパチンと合わせると、その蝶たちは刀剣男士達にとまる。

次の刹那、その炎は刀剣男士を覆い全身へ火が回る。
その光景に皆が驚き混乱するが、全身の傷がみるみるうちに消えていく。
炎が自然に消え去ると、怪我などどこにもなかった。


「…こ、えが、出る」

「あ、兄者！！」


源氏兄弟が涙を流しながら喜ぶ姿を見た彼女は、皆が歓喜している間に静かに外へ出て次の本丸へと向かいだす。

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