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151 潜入開始 ページ22

次の日

『では、これより報告にあった違法運営本丸へ行ってきます。』


藤が描かれた綺麗な薄紫の着物を纏い、護身用に胸元に信濃藤四郎を侍らせる彼女。
隣には物吉貞宗が主の上着を持ちたたずむ。


「物吉、信濃、主を頼んだぞ。」

「はい。ボクがいれば主様は幸運です。」

「俺は大将の懐を守るよー!」

「いや…それはそれで問題がある気もするが…」


信濃の言葉に、声をかけた長谷部の他の皆も苦笑いをする。
この場にいる一期一振が顔を手で覆って恥ずかしそうに俯く。


『では、本丸の警護を任せたよ?』


主のその一言に全員が声をそろえて返事をする。
それを見届けた彼女は、門をくぐり抜け現世へと向かった。

次に目を開けた時には、問題があると言われたある本丸の門の前だった。


『物吉、どう?』

「はい。丁度向こう側に二振り警護しています。」

『強行突破には無理がありそうね。』


こんのすけ。と呼べば、ボンッと煙の中から現れ、Aの肩の上へと着地する。


『出番よ。』

「はい!では、張り切りまして。」


そう言うと、肩から降りると門の前で鈴を二度慣らし前足を門へと置いた。


「開城」


まるでこんのすけの言葉に従うかのように、門が行くりと開門する。
それに合わせて本丸へ足を進め、完全に入ると後ろで勝手に閉門する。

審神者に割り振られている本丸は全て政府の管轄。それはすなわち、政府の式神であるこんのすけに開けられないわけがないのだ。
特に初代のこんのすけにとっては朝飯前だろう。


「っ!誰だ!!」


日の光に照らされた二振りの刃が、両側から初代に向けられる。
だが、刃の交じる音が聞こえた次の瞬間、その刃は刀剣男子のはるか後方の地面に突き刺さっていた。


「物騒ですね。」


笑顔で静かに自身の刀身を鞘に納める物吉。
そう、一瞬で決着をつけたのは誰でもない物吉によるものだった。


「何者だ。」


刀身が手元に無かろうとも初代を睨みつけ、問う膝丸に彼女は憐みの目を向ける。
切り傷や打撲が残るその体は手入れなどされていなかった。

反対側にいる兄の髭切を見ても同じ。
戦えない傷ではないが、中傷といったところだろうか。


『第一本丸審神者Aと申します。貴方達の主の元へ連れて行きなさい。』


第一本丸。審神者。この言葉に、二振りは目を見開いた。


「あの名高い初代がなぜここにいる。」

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Aqours?(プロフ) - 素晴しい小説を有難う御座います。本当にストーリーの構成やキャラクターの発言において全て読みやすいうえに解釈一致でした…改めて素晴しい作品を有難う御座いました。 (2023年5月1日 3時) (レス) id: f32673621d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とても面白くて一気に読んでしまいましたw素晴らしい小説を作っていただきありがとうございます!!!! (2022年12月20日 12時) (レス) @page48 id: 3ad15612f6 (このIDを非表示/違反報告)
雪モチ(プロフ) - 1話から一気読みして来ました!ホントに面白くて時間をいつの間にか忘れるほどでした(笑)このような素晴らしい小説を作っていただき読まさていただきありがとうございます。完結おめでとうとございます!お疲れさまでした!! (2021年12月1日 19時) (レス) @page48 id: 920125ce92 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - こんばんは☆初めましてm(_ _)m刀剣乱舞アニメやゲーム大好きでコナンとのコラボ短編を含め全て読ませて頂きました(^ν^)ただ全体的に所々ではありますが誤字脱字が御座いましたので^^;御報告させて頂きますね。それではこれからも応援しております( ´ ▽ ` ) (2020年2月22日 19時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 雪羅さん» 雪羅さんお久しぶりです!いつも暖かいコメントありがとうございます。中々更新できませんが、これからもよろしくお願いします。更新頑張ります(^-^) (2019年8月21日 20時) (レス) id: 061be1d3a8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/  
作成日時:2018年9月29日 22時

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