【刀剣乱舞×名探偵コナン】不死ノ少女 完結編

143 緊急事態 ページ14

Aが本丸に帰るや否や、武装した長谷部が秒速で現れ、膝を付いた。


「無事の帰還、ようございました。主。」

『皆を大広間に集めておいて。』

「はっ。」


頭を下げると、すぐ様本丸内へ戻っていき大声で呼び集めている。


『お前達も大広間へ。』

「承知致しました。」


頭を下げ、早足で向かう彼らを見届け、彼女はコナンに視線を移す。


『コナン君』

「なぁに？」


彼女の異変を察知したコナンは、子供特有の甘ったるい声で返事をするが、それすら構う余裕が無いのか真剣な眼差しで彼を貫く。


『順番が前後して申し訳ないけど、貴方を2017年の過去へ返します。』

「え、でも記憶とか…」

『そうね、今のままでは消去出来ない。伊邪那美の事は一切解決してないのだから。でも、事が事なの。ここに居ては君の身が危険になる。それだけは審神者として避けなければならないの。』


そう言うと、彼女は懐から札を一枚コナンに渡した。それをマジマジと見つめ、不思議そうに見つめるコナンにAは屈んで視線を合わせる。


『それをはなみはなさず身につけるのよ。何か…人間では無い何かからなら一度だけ守ってくれる。』

「…どうして…僕をそんなに守ってくれるの？」


コナンが前々から思っていた事を吐き出した。
確かに彼女は審神者で、この時代ではなく過去に生きている彼を助けるのは当たり前の事なのかもしれない。

けれど、勝手に頭を突っ込んで痛い目を見て、当然の報いを受けるべきコナンをここまで必死に守る彼女が彼にとっては信じられない事だった。

彼女としては重要人物であるコナンを死なせてはいけない。そう思い、審神者としての責務を全うしただけの事だが、あの時代においてコナンがそれほど重要だという事は口が裂けても言えないのが事実。

思わぬ所で想いのすれ違いが起こっていた。


『さぁね。審神者としては当然の事よ。』


そう言いながら、コナンの手を引っ張り門の前へと連れ出す。
パチンと両手を合わせ、門に触れ開くとその先は先日コナンが遭遇した濃霧で、行く手が見えない。

その光景に、たじろぐコナンだが、Aが彼の背を押し前へ進ませる。

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