【刀剣乱舞×名探偵コナン】不死ノ少女 完結編

171 譲れない ページ42

世界の理、対。この言葉で彼女は全てを察した。


「光と闇、天と地、裏と表、白と黒、上と下…そして、俺とお前。めでたく仲間入りって訳だ。」

『…なるほど。それで私の魂ってことね。肉体さえ残っていれば、この法則に逆らう事は無い。しかも、不老不死だから肉体も腐らない。』

「流石。飲み込み早くて助かるわ。」


Aは、乾いた笑いから徐々に高笑いへと変貌していく。
そして、ゆるりと立ち上がり陸也を捉える。

その瞳からは涙が零れ落ちていた。


『ならば、逆も言える。君も同じでしょう？私が君の魂を消滅させてしまえば同じこと。』

「…まぁな。けど、お前には出来ないさ。」

『ええ、そうね。君の死を示すのは、遡行軍との戦いの終焉を意味する。そうなれば、世界が作ったこの均衡は崩れ去る。』


その通り。そう言おうと口を開いた陸也だが、Aの言葉に遮られる。


『でも、そうなれば私も死ぬ事を許される……やっと、死ねるかもしれない。』


Aの光の入らない瞳に、陸也は息を呑む。
その流している涙は悲しみか、絶望か、はたまた歓喜によるものか…

得体の知れないその涙に陸也は一歩後退した。


「おいおいおいおいおい…お前、自決主義者か…？」

『…だったら、なに？』


感情の篭っていない表情で、頭を傾げる彼女。


「…だとしたら、俺に大人しく殺されろよ。そうすれば、お前の望む死が来るんじゃないのか？」

『嫌よ。だって、私が先に死ねば君の率いる遡行軍が残る。でも、君が先に死ねば何も残らない…思い残す事なく、綺麗に死ぬ口実が出来る。』


だめだ、抜かりない。と頭を横に振る陸也。

二人の目があった刹那、それぞれ武器を生成する。
陸也は刀を。Aは札から鎌を。

そして、同時に地を蹴った。

激しくぶつかり合う刃。
Aの鎌が陸也の腕を掠める。
陸也の刀も彼女の頬を掠め、お互いに後退する。

互角…と言いたい所だが、陸也の方が力は上だった。
力の差は埋まらない。そう思ったAは札から蝶を生成する。

鎌の周りに纏わせ、もう一度走り出す。
それを見た陸也も、何かを唱えながら走り出す。

互いに振り上げた刹那、Aの視線の端に少年が写ったような気がした。
その緩んだ気を彼は見逃さなかった。


「ばーか」


陸也の声の後に、肉が裂ける音がした。
彼の刀は彼女の脇腹を切り裂いた。

だが、Aもまた後方へ下がる瞬間に彼の背に鎌を突き刺した。

互いに傷口からドクドクと血液が流れた。

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