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129 ばいばい ページ50

そして、舞ももう八十のおばあちゃんになっていた。
庭園を散歩しながら久々の雑談を楽しんでいたある日の事だ。


「相変わらず、あんたは甘いね」

『うわ...舞の毒舌なんて久々』

「...もう、陸也も凛も夏樹もいない。あたしら二人だよ。」

『うん...でも、若い子も育ってきてるよ。』

「それでもあんたには敵わないさ。」

『......舞が褒めるなんて明日は雨かな?』


なんてとぼけると、舞のついている杖で頭をぶん殴られる。


『痛い...』

「...A、あたしももうそんなに長くない。あんたが心配だよ。」

『やだ、やめてよ...。』


突然立ち止まり目に涙を溜めた私を見て、舞は目を伏せる。


『ねぇ、舞。私、もう死ねないのかな?』


その言葉に彼女ははっと顔を上げる。


『可笑しいの...こんなに長く生きているのに、老いが来ないの...目も耳も臓器も何もかも全く老いないの...私って...何?人間?それとも陸也と同じように』

「A。」


優しく私の名を呼ぶ彼女の声でブワッと涙が溢れ出す。
私は舞以外の人に名前を呼んで貰えるのだろうか?
周りの人は時を刻み目の前から消えていくのに、私は...私は何も変わらない。
心が可笑しくなりそうだ。舞がいなくなったら私は


「大丈夫。待ってるよ、A。」


数日後、あの会話は虫の知らせだったかのように舞は老衰で亡くなった。

周りの皆は私の事を恐れた。
その恐怖を私は利用し、私は天照大神の加護のもと永遠に老いない体を賜った。と嘘を並べた。
その証拠にこの目だと言い張れば誰も疑いなどしなかった。
それと同時にその目を前髪で隠すようになった。見たくなかったから。

それから私の事を「唯一残った初代」の意味を込めて初代と呼ぶように変化した。

そして月日は流れ、もう何百年も経った。
自分の歳なんてもう覚えていない。
次第に私の本当の名前が何だったのかなんて忘れてしまった。
Aという名が本名なのか、審神者の名なのかすら分からない。

何度死のうとしたことか。それを実行しても死ねない。

ゴキブリ並みの生命力だったのか何故か生き残ってしまうのだ。

頭にはあの四人の笑顔がこびりついて離れない。
私もそっちに逝きたいのに...もう十分に生きて使命を真っ当した。


『もう...死なせてよっ』


棚に飾ってある審神者に就任した写真の頃に戻りたかった。

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朧月(プロフ) - リディア94さん» コメントありがとうございます!中々更新できずに申し訳ないです(;´・ω・)この続編で安室さんとの絡みを考えていますので、今しばらくお待ちください (2018年9月29日 16時) (レス) id: 8de05b0df6 (このIDを非表示/違反報告)
リディア94(プロフ) - 大好きすぎて更新されたらすぐ読んでます!安室さんとの絡みがもっと増えることに期待してます!!これからも頑張ってください!応援してます! (2018年9月29日 13時) (レス) id: 4cfe601cb3 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 桜さん» 暖かいコメントありがとうございます!!更新頑張りますね(*'▽') (2018年9月15日 19時) (レス) id: 8de05b0df6 (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白かったです。更新頑張ってください! (2018年9月15日 0時) (レス) id: 745df45fe1 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 雪羅さん» 最初から読んでくださって...ありがとうございます!!すごく嬉しいコメントを...これからも頑張ります! (2018年9月4日 0時) (レス) id: 2c921dc331 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/  
作成日時:2018年8月10日 14時

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