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113 無事 ページ34

『っはぁっはぁ...っはぁ...っはぁ』


ただ、その分蝶達に霊力を持っていかれるため冷や汗は止まらず、息切れし呼吸は中々整わない。
しまいには膝を地面について肩で息をする。

それを見た清光は慌てて駆け寄り、背中を優しく擦ってくれる。

周りの刀剣男子達も驚いた様子で、私達に近づく。
息切れをして頬の血をぬぐいながら、舞の山姥切が口を開いた。


「助かった、礼を言う。」

「何があったわけ?」


すかさず聞き返す清光。
目を細め、目線をそらし被っている布を自分で強く引っ張った。


「...裏切りだ。」


重たい口を開き聞こえた言葉に、私達は目を見開いた。
政府内での清光の言葉が頭の中でリピート再生される。

お互いに唇をかみしめて顔を伏せる私達を見て、山姥切達は不思議そうな顔を向けた後、その意味が分かったようで清光の胸ぐらを掴み上げた。


「お前ら分かっていたのか!?」

『落ち着いて、山姥切』

「落ち着いていられたら山姥切もそんな事しないよ。」


私の後ろにいた源氏兄弟の髭切が低い声で言った。


「どういうことだ!」


目を合わせない清光に山姥切が叫ぶ。


「...知らなかった訳じゃない。」


清光の言葉にその場にいた皆の殺気や怒りが膨れ上がったのを感じ取れる。


「っなぜ!言わなかった!!」


彼は私と清光を相互に見て怒鳴る。
ようやく落ち着いたのをもう一度呼吸して口を開いた。


『最初は知らなかった。でも、陸が可笑しくなる可能性が出てきて、それで陸の本丸に行ったら...っ。...凛が...』


地面を指でぎゅっと握るように削り、唇をより一層かみしめる私を見て山姥切は眉をひそめた。

彼に言った事は嘘ではない。
けれど、一年前のあの惨劇の未来を変えた事を話し合いに来たとは口が裂けても、彼らには言えない。


「...そうか、事情を知らずに怒鳴って悪かった。」


清光の胸から手を離す。
他の皆も申し訳なさそうに下を向いた。

陸也が可笑しくなる理由を聞こうとしたのを遮るように声を荒げた。


『それよりも、舞華と夏はっ!?』


私の声に皆は一気に青ざめ、主!!と叫んで本丸の中に走っていった。

私と清光も慌てて追いかける。
奥から聞こえる、聞き覚えのある低い声に自然と足の回転が速くなる。

大広間に入れば、肩で息をしながらも結界を貼り傷一つない舞と夏樹。
二人の生存を確認して目頭が熱くなった。

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朧月(プロフ) - リディア94さん» コメントありがとうございます!中々更新できずに申し訳ないです(;´・ω・)この続編で安室さんとの絡みを考えていますので、今しばらくお待ちください (2018年9月29日 16時) (レス) id: 8de05b0df6 (このIDを非表示/違反報告)
リディア94(プロフ) - 大好きすぎて更新されたらすぐ読んでます!安室さんとの絡みがもっと増えることに期待してます!!これからも頑張ってください!応援してます! (2018年9月29日 13時) (レス) id: 4cfe601cb3 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 桜さん» 暖かいコメントありがとうございます!!更新頑張りますね(*'▽') (2018年9月15日 19時) (レス) id: 8de05b0df6 (このIDを非表示/違反報告)
- とても面白かったです。更新頑張ってください! (2018年9月15日 0時) (レス) id: 745df45fe1 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 雪羅さん» 最初から読んでくださって...ありがとうございます!!すごく嬉しいコメントを...これからも頑張ります! (2018年9月4日 0時) (レス) id: 2c921dc331 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/  
作成日時:2018年8月10日 14時

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