108 嘘と言って ページ29
それらしき本を見つけるのにそこまで時間はかからなかった。
そして、そこに書かれていることは信じられないような内容だった。
『なに...これ』
__予定通り本日も時間遡行軍の影は認められず。開戦まであと二週間。
これではまるで、政府が遡行軍が来ることを事前に知っていたという事ではないか。
だから、政府は一切焦りを見せなかったのか。と納得すると共に、この事を知っているのならば刀剣男子や審神者の存在をはるか昔から知り得ていたとしても可笑しくは無い。
この事を知ったのは、先程書かれていた誰かからの情報か...それとも、何かしらの神からお告げでもあったのだろうか?
とにもかくにも、疑問は消えた。
けれど、それ以前に
『なぜ、今年なの...去年の間違いじゃ』
そう、知っていたのなら去年のあの惨劇を知らないわけがないのだ。
本来なら、記載が去年になっていて開戦していても可笑しくない。
そして、あれを回避できていたはずだ。当時は審神者が五人いたのだから。
私の記憶と政府の記録が噛み合わない。
何が起こっている?嫌な汗が背中を伝っていく。
『...まさか...そんな。』
「主?」
顔が蒼白になっていく私を心配して清光が私の顔を覗き込む。
『私たちは、大罪を犯してしまったかもしれない...』
去年の惨劇が遡行軍ではないというのなら、あれは一体何だったのか。
そんなの簡単に導き出せる。
あれは、人類が滅ぶという運命に過ぎなかったのだ。
つまり、私たちは正常な流れを絶ち未来を変えてしまった事になる。
でも、本当に遡行軍だったかもしれない...偶々もっと未来からやってきた遡行軍だったとかありえないだろうか?
それに、陸也は確かに遡行軍だったと
この時、あの時の彼の言葉が脳内で再生された。
「...これでいいんだ。」
バラバラのパズルが型にはまっていく。そんな感覚に陥る。
ようやくその言葉の意味が分かった気がした。
そうか、彼は分かってやっていたのかと
「...じ...あ...じ!主!!」
肩を揺さぶられていたことに気付き、目の前の清光の赤い瞳を捉える。
「しっかりして!どうしたの?」
『清光...去年のあの惨劇、あれは本来の時の流れだったのよ。』
「...は?」
『私たちは未来を変えてしまった。』
目を見開き肩を力強くつかむ彼に私は涙を流しそうになった。
『とにかく、陸に会って話さないと!!』
走りだそうとした時、小型通信機が振動した。
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朧月(プロフ) - リディア94さん» コメントありがとうございます!中々更新できずに申し訳ないです(;´・ω・)この続編で安室さんとの絡みを考えていますので、今しばらくお待ちください (2018年9月29日 16時) (レス) id: 8de05b0df6 (このIDを非表示/違反報告)
リディア94(プロフ) - 大好きすぎて更新されたらすぐ読んでます!安室さんとの絡みがもっと増えることに期待してます!!これからも頑張ってください!応援してます! (2018年9月29日 13時) (レス) id: 4cfe601cb3 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 桜さん» 暖かいコメントありがとうございます!!更新頑張りますね(*'▽') (2018年9月15日 19時) (レス) id: 8de05b0df6 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - とても面白かったです。更新頑張ってください! (2018年9月15日 0時) (レス) id: 745df45fe1 (このIDを非表示/違反報告)
朧月(プロフ) - 雪羅さん» 最初から読んでくださって...ありがとうございます!!すごく嬉しいコメントを...これからも頑張ります! (2018年9月4日 0時) (レス) id: 2c921dc331 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朧月 | 作者ホームページ:http://fblg.jp/510814/
作成日時:2018年8月10日 14時