【刀剣乱舞×名探偵コナン】黎明ノ少女

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その日の帰りがけ、鈴から憑依を解いた所で夏樹が陸奥守から離れたのを見計らって自然に近づいた。


『無事に守れて良かったわね。』


笑顔で言う私に彼は頭の上に？を浮かべて、ああ！と声を発した。


「まっこと、主も楽しみにしてたきに。来られて良かったぜよ」


白い歯を見せてニッコリと笑う彼を見て、私も笑顔を返す。

これで確信が持てた。
陸奥守はどうやら、あんみつの約束が守れて良かったと勘違いしたようだった。
つまりは、あの惨劇を知らないのだ。

もし知っていたのなら、あの場で私と陸也に礼を言っていたところだろう。
だがそれが無かった。
それは、あの時夏樹が死に私の刀剣男子たちは強制的に本丸に飛ばされたか、神域に飛ばされたかの二択になる。

審神者が死ねば、霊力増幅装置が無かったあの状況下であの空間は保てずに消滅する。

私の推測に過ぎないが...でも、その証拠にうちの刀剣男子たちは全員記憶があった。もし、消滅していなければ全員折れている。きっと折れていれば今、記憶は存在しない。
とどのつまり全員無事に逃げ切ったのだろう。

それは陸也の所も同じ。

あの記憶があるのは、私と私の刀剣男子たち、陸也と彼の刀剣男子たちだけだ。

皆と別れた後、清光と帰り道を並んで歩いていた。


「...皆覚えていないみたいだったね。」

『そりゃあね...言ってしまえば私たちは未来を変えたのだから。』

「寂しくない？」

『なんで？』

「あんなに必死に救おうと奮闘した主たちを誰も覚えていないだなんてさ。」

『皆が覚えていなくても、清光たちは覚えている。...それで十分だよ。ありがとう』


隣で悲し気に揺れる瞳の彼の頭を撫でてあげる。


『...あの地獄を知るのは私と陸也、清光たちだけでいいんだよ。』


うん。と小さく声を発する彼に、なぜか私まで悲しくなってくる。

なぜだろう...この日常がとてつもなく嬉しいはずなのに、素直に喜べない自分がいる。
勝利した直後の陸也の様子が可笑しかったから、それを引きずっている？

それとも、あの惨劇を陸也以外誰も理解してくれない事に本当に寂しさを感じているの？

分からない...自分の心が分からない...

不安の影が拭いきれない中、この半年で審神者が徐々に増えていった。
総勢二十人余りになったころ、総合的に優秀な陸也が審神者の頭として正式に登録された。

それからまた半年...丁度一年が経過し私たちは十八歳になった。

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