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木藤良くんが静かに話し始めた。Aはそれを静かに聞く。
5人はもともとバンドをしていたこと、陣内先輩たちとの事件、そして、今5人はバラバラになろうとしていること。木藤良くんは全て話してくれた。この話を聞いて思ったことは一つ。
『みんな音楽が好きだったんだね』
「そうだね。ごめんね、こんな話して」
『全然!でも、あんまり話したくなかったんじゃない?大丈夫?』
「大丈夫。なんか、Aちゃんには話してもいいかなって。ちゃんと聞いてくれるだろうなって思ったんだ」
『そっか。話してくれてありがとう』
「練習の邪魔しちゃったね」
『全然!息抜きとしてたところだし、たまにはこうやって木藤良くんとお話しするのもいいね。』
「いつもは僕が勝手に来て、演奏聞いてるだけだしね」
そう。木藤良くんは毎日来るものの、演奏を聞くだけで帰ってしまうため、会話をした事は今までほとんどない。
「ねぇ。その”木藤良くん”ってのやめない?”蓮”って呼んでよ」
『じゃあ、蓮くん』
”蓮でいいよ”ではなく”呼んでよ”という言い回しに若干の強制感はあったが、名前で呼び合うようになったおかげなのか、一気に距離が縮まった感じがした。基本的に、Aは異性を苗字、もしくは愛称で呼ぶことが多い。そのため、名前で呼ぶのは新鮮だった。
「Aちゃん、あの3人のことよろしくね」
『あの3人?』
「安保と桑田、高杢のことだよ。いい奴らだから」
『え?それどういう…』
「たぶん、もうすぐ分かるよ。じゃあ、僕は裕人のところに行くね」
そういい、蓮くんは教室を出た。今、名前が挙がった3人とは話したことがない。もしかすると、向こうはAの名前すら知らないかもしれない。
『よろしく…か…』
この言葉の意味をAはこの後すぐ知ることになる。
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ゆい - とっても面白かったです! 私もフルートやってて、すごい読んでて楽しかったです。 (2016年8月23日 17時) (レス) id: 3f79c1fb6b (このIDを非表示/違反報告)
莉乃推し勝利担 - まさに私の憧れストーリーです。私は、トランペットを中学生からやっているからどうしても自分も世界に入ってみたくなる。更新楽しみにしてます。 (2016年7月30日 0時) (レス) id: 51208d69f4 (このIDを非表示/違反報告)
チロル(プロフ) - 小説内のオリジナルキャラが出てきてとても驚きました。今後田中くんがどのように関わってくるかドキドキします。更新頑張ってください!!後、オリフラ外した方がいいと思います!! (2016年7月27日 6時) (レス) id: ad3e95e003 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凪 | 作成日時:2016年7月26日 22時