普通の転校生

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発表会当日。
集合時間前に会場に着いたのはAだけであった。


『(まぁ、来ないわな)』


昨日、青島と木藤良が部室へきて、”行くな”と脅したからだろう。その後、少し遅れて渚ちゃんが来たものの、そのほかの部員たちは誰一人来ることはなかった。


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次の日、樋熊先生からの放送が校内に鳴り響いた。内容は、部員募集と吹奏楽部員・不良5人の集合である。部員のAは音楽室へと向かうと、そこにはサックスを吹いている樋熊先生と部員・不良5人の姿が。


部員・不良5人が集まったところで、先生は自身の過去について話しだした。事故にあったこと、楽器を思うように吹けなくなったこと、今、吹いていた楽曲の説明。


そして…


「ここにいる全員に夢を持ってもらうこと。」


夢について。


「広い世界へ飛び出してみないか？」


樋熊先生が青島に語り掛ける。


「その広い世界とやらを見せてくれよ」


そう言い、青島は椅子を窓ガラスに向かって投げた。窓ガラスは粉々に。
青島たちは教室を出て行った。出ていく際に、木藤良はAに”ごめんね”と口パクで伝えた。


どの意味の”ごめん”だろうか。”窓ガラスを割ってごめん”なのか、”音楽を一緒にできなくてごめん”なのか。どっちにしろ、今からAたち部員がやることは決まった。


『…掃除だ』


窓ガラスの掃除。そして…


「みんなで全国大会目指しませんか？」


目指す場所も決まった。


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