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次の日の昼休み、吹奏楽部員に集合がかけられた。
「昨日言ってたお楽しみってなんだし」
「コンクールで演奏する自由曲を決めたいと思います」
自由曲を決めるための集合だったようだ。そう言って樋熊先生がCDを取り出し、曲をかけた。
『エルカミって…』
エル・カミーノ・レアルはアルフレッド・リードが作曲した吹奏楽曲であり”早い‐遅い‐早い”の典型的な三部形式の演奏会用序曲のスタイルで構成されている。
「スペイン語で”王の道”」
難しいやそんな柄ではないという声もちらほら上がる。そう、この曲は、聞いている分にはかっこいいが、いざ自分たちで吹けと言われるとかなりつらい。各パートで”いじめ”が起こる。とにかく、テンポが速い。そして、基礎はもちろん、表現力が試される曲だとAは勝手に思っている。
Aは、前に学校で同じA.リードが作ったオセロという曲を演奏したことがあるが、その時の練習量は半端ないものだったなと密かに思う。
「君たちにふさわしい曲だ。じゃあ、まずパートリーダーを決めなきゃな」
「はい、先生!僕やりたいです」
パートリーダーか。確かにパートのまとめ役は大事だ。ここで一番に手を挙げた井川くんは流石である。その井川くんに続いて、次々に手が挙がる。
「曲はエル・カミーノ・レアル。金曜日にオーディションとします」
パートリーダーはオーディションで決定することとなった。
「ホルンパートは一番上手な、Aちゃんで決まりですね!」
『古庄、何いってんの。明日香ちゃんや松野だって上手だし、木部くんだって頑張ってるから最初のころと比べたらだいぶ上達してるよ』
「いやー、でも」
『とにかく、エルカミって”ホルン殺し”って言われてて、だいぶ難しいからね。みんな頑張るよ。』
「「「そんなぁ」」」
こんな返事だが、大丈夫なんだろうか。初心者にエルカミはきついはずだ。経験者でも、結構つらい。今日から練習量を増やしていくしかないなと思っていると…
「なぁ、竹内…だっけ?お前、うまいんだろ?俺らに教えてくれよ」
『安保くん?いや、でも私も練習しないと』
「少しでいいから!たのむ!」
『…分かった』
基本的に、頼まれると断れない性格のため、今日の放課後はこの3人と少しの時間だけ一緒に練習することとなった。
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ゆい - とっても面白かったです! 私もフルートやってて、すごい読んでて楽しかったです。 (2016年8月23日 17時) (レス) id: 3f79c1fb6b (このIDを非表示/違反報告)
莉乃推し勝利担 - まさに私の憧れストーリーです。私は、トランペットを中学生からやっているからどうしても自分も世界に入ってみたくなる。更新楽しみにしてます。 (2016年7月30日 0時) (レス) id: 51208d69f4 (このIDを非表示/違反報告)
チロル(プロフ) - 小説内のオリジナルキャラが出てきてとても驚きました。今後田中くんがどのように関わってくるかドキドキします。更新頑張ってください!!後、オリフラ外した方がいいと思います!! (2016年7月27日 6時) (レス) id: ad3e95e003 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凪 | 作成日時:2016年7月26日 22時