私の指を切り落として 【灰谷蘭】【完結】

♯18 ページ19

「A、元気してた？」





数分遅れて車に乗り込めば心配してくれる竜胆と車の発進する音






『あ〜、別にって感じ。まぁ、遊んでるけど』




この後蘭と会うなんて言えないし、蘭の話をする事も避けたい。





「そっか。今日矢谷も居るって。」





矢谷会長は蘭の嫁の父親。
梵天のバックにつく逆らえない人





『へぇ〜…蘭の挙式の事じゃない？』





さっき蘭と会う事を約束したせいか、心臓がバクバク鳴って気づかれないようにとただ願った。





「…そうなら、いいな。」









今日誰がどれぐらいの人が来るかなんて知らない。
何の話があるのかも、誰が何を知ってるのかも知らない。





『へぇ、…怖いね。』




蘭が私を誘ってくれた。
会いに来てくれた。




それだけが嬉しくて頭は空っぽになって上の空で返事をした。






「着いたよ。行こっか。」




集合場所までの道のりは短くて、車から出たら空気が冷たくて行くのが嫌になる。






『竜胆…』





「…ん？……」





神様は私に冷たいみたい。





『……何の話か知ってるの？』






「知らねぇよ。…行くぞ。」





今から何の話なのか、どうして蘭がいないのかを教えてくれない。



冷たいのは



冷たいと感じてしまうのは




やましいと、駄目な事だと
私が気づいているから。

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