他者と初めて深く交流した日 ページ10
ボーと一緒にブラッドと名乗ったハゲ頭のおっさんの後について行き、ヘンリー捜しの旅が始まった。
沼地の端っこのバーでいつもいた私たちだが、それでも沼地の外に久方振りに出ていた。
数か月前にどこかに消えて行った家族の行方を追う為でもある。
「ボーと……ルーカスかい？はじめまして！僕は人気者でありヒントロードでもある、テリーだよ！」
「ああ、テリーだね。短い間だけど、よろしく」
「……」
「ありゃ？弟君、無口だね」
「俺の弟、クールだろう？」
調子のよさげな声を出して、テリーに向かって言葉を投げていた。
それを聞いたテリーは「わぁお！それは良いね！僕も今度無口になってみようかな？」と私の顔を見詰めてくる。ヘルメットの可視可能部分(相手からは顔が見えない)で、彼の覗き込む顔に驚いてしまう。少し後退れば、誰かにぶつかる。
「どぅる、りーだっ？」
「！？」
魚頭の男が、私の方へと向いていた。その異様な光景に目を丸くしていると、彼も私をぎょろぎょろとマスクにある死んだ魚のような眼で見てくる。
「！？」
「だ、大丈夫かい？ルーカス……？」
ボーの後ろに隠れた私の頭を覆うヘルメットを、ゆっくりと撫でてくる。
直に触れられてはいないが、それが変に心地良かった。
「慣れなきゃダメだよ、頑張ろう？」
ボーのセリフに、渋々頷いて先程の魚頭の男の方へと向かう。
彼に身振り手振りで動作を取れば、彼もぎょろぎょろと作り物の目玉を動かして私の動作を見詰めていた。
「ぐぅーがぁっ」
「……？……！」
一体どこの言葉を出しているんだと思いつつも、自分も声を出せないので周りから見たら変な光景に見えるのだろうか。
「何だ、君たちのバカみたいな言動のやり取りか？そんなもので、両者それぞれ通じるとでも思っているのか？」
足元から声が聞こえて来たので、そちらに目線を向けると私の住んでいた沼地ではいると噂がされていた魚人がいる。オシャレな小さな黒いシルクハットまでご丁寧に被っている。
それ以前に私と分からないこの魚頭の男も、魚人もどきにあたるのだろうか。
「……」
「随分と小さな坊ちゃんだな。こんなに愛らしい坊ちゃんなら、世間を兄に教えられなかったのだろうな？」
「ハーヴェイ……これ以上、彼をいじめないでくれ」
私の肩を持って、ボーは下に見える灰色の魚を見下ろす。
すると下に見える魚は顔をしかめて、「はぁ……人間のくせして、思慮深いんだな」と目を伏せて言葉を発していた。
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さとうみさん - ラムネサイダーさん» ありがとうございます！今さらご返信なんて、とんでもないことをしていますが同士様がいらっしゃるとは！嬉しい限りです！またいつかLISAは短編でどこかで書こうと思っておりますので、そのときはよろしくおねがいします！ (2020年9月20日 22時) (
レス) id: 3ed32e075b (このIDを非表示/違反報告)
ラムネサイダー - ジャックとボーが大好きなので最高です。 (2020年8月19日 21時) (レス) id: 36b99241c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さとうみさん | 作成日時：2020年4月24日 23時
