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目の前を見据えた日 ページ35

地響きのした方向へと足を進めていると、いつのまにかバディがミュータントの山を見詰めていた。
目線の先は上に座っている老いぼれた男に向いているようで、その男は私の方へと目線を寄せた。

「おや、ミラーのお嬢さんもおいでになったか」
「……何だ、アンタらも来ていたのか」
「まだ君たち女性が生きていたようで何よりだよ」

彼はトランペットを片手に、私たちを見下ろしていた。
変な静寂が辺りを埋めていたので、少し気まずくなりそうになる。

「そう言えば……バディ以外の君たちはジョイを服用をしていない様子だね……バッゾーめ、しっかり普及させていたのか」
「ジョイか、兄弟のヘンリーが服用していた……俺が不甲斐無いせいで……誰かから攻撃を喰らって、死んだ……」
「ほう、そうか」

男はさぞ興味無さげにボーの話を聞いていた。
バディはいつの間にか男に斬りかかろうとしていたが、男はミュータントたちに指示をするようにトランペットを吹いてミュータントから飛び降りて奥に逃げて行った。

「クソっ!!何だ、これは!!」
「結構多い……俺たちも加勢するから」
「良い所、見せるよ!」

ジャックとボーはバディの後ろからあくまでも援護をするつもりだが、彼女は不服そうだった。

「おい、女!」
「え!?」
「あのふざけた男を追ってくれ!後でオレも合流する!」
「Aも行くなら、俺も行くよ」
「好きにしろ」

ジャックとバディはその場でミュータントと闘い、私たちはトランペットを持った男を懸命に追いかける。
しばらくは死体やミュータントの亡骸が転がっていたが、次第に少なくなってきた。
その先に男は止まっていて、私たちを見ていた。

「はぁ……どうも年を取ると、すぐに息切れするものだな」
「……私を知っているようだけど、どう言うこと?」
「ああ、君のお父さんは私の研究を一番で支えてくれたと言っても過言じゃない。そんな彼の娘となると、知っていて当然さ」

男は不敵に笑むと、トランペットを口に近付けて告げて来た。


「君のお父さんは本当に天才だ……赤ん坊の君に副作用のない耐薬性の注射をした……さすが、ジョイを作った代表者だけはある」


にたりと笑んで、トランペットに口付ける。
そして甲高くも重低音を辺りに響かせて、その場を小さく震わせた。
後ろからどしんと重々しい音がして、ゆっくりと振り向くとミュータントがのしのしとこちらへと地響きをさせながら歩んできていた。

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さとうみさん - ラムネサイダーさん» ありがとうございます!今さらご返信なんて、とんでもないことをしていますが同士様がいらっしゃるとは!嬉しい限りです!またいつかLISAは短編でどこかで書こうと思っておりますので、そのときはよろしくおねがいします! (2020年9月20日 22時) (レス) id: 3ed32e075b (このIDを非表示/違反報告)
ラムネサイダー - ジャックとボーが大好きなので最高です。 (2020年8月19日 21時) (レス) id: 36b99241c0 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:さとうみさん | 作成日時:2020年4月24日 23時

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