馴染んだ土地から離れる日 ページ4
私が物心がついた日以来から、この世界には男性しか見かけないなあと思いつつこの世界で生きていた。
時には男の姿として無言でその場で佇み、他者がいない中では女の私として振る舞っている。
私は性別が分からない様な見た目にされていて、兄たちのボーとヘンリーの後を追いかけて育って来た。
「A、今日は引っ越しをしようと思うんだ」
「え？」
「あーここはな……ランドー軍の率いる軍隊が押し寄せて来たんだ。おかげさまで、家の周りは死骸だらけだよ」
はあと肩をすくめるヘンリー。それを見たボーはヘルメット越しで、少し複雑そうな溜め息を漏らしていた。
「A、まだ少し幼い君には外の景色は悪影響だと思っているんだけどね……でも、俺たちの今生きている世界はそれが当たり前になってしまったんだ」
「ボーは優しいもんなぁ、誰か分からない人の死体の前でも悲しそうにしてたもんな」
「ヘンリーには負けるよ。Aのことを真っ先に考えてくれているからね」
「おいよせよ、恥ずかしいだろ」
兄弟は親し気に話し始めているものの、妹の私は置いて行かれていた。
そんな彼等を呆然と眺めている中、おほんと私の前に向き直った。
「とにかく、俺たちは今晩この地を離れて安全な場所を求める長旅をすることになるかもしれない」
「旅？」
「ああ、その為にボーとAが音楽で稼いだマグが生きるんだよ」
「何言っているんだい、ヘンリーも必死にマグを集めていたじゃないか」
マグ……このご時世ではいわゆる、裸体に近しい女性がたくさん写っている雑誌が通貨になっているんだとか。あんなののどこが良いんだと思いつつも、ヘンリーは時々それを見てにやにやしているしボーは私に見せない様にと高い所に置いている。
私の家族内でも、こんな扱い方をされているマグ。それが他の人たちにも受け入れられているそうな。
実際にボーと一緒に外に出て一緒に楽器を奏でた時にも、マグを投げ付けられた記憶しかない。
「旅、してみたかったんだ！私、頑張ってボーとヘンリーに付いて行く！」
「良かったな、ボー」
「ヘンリーもはらはらしていたじゃないか」
二人は少し言い合っていたが、笑い合って私に向いた。
「夕方まではここにいるから、その間までに持って行きたい物を少しだけまとめても良いよ」
「うん！」
ボーのセリフに頷いて、自分の荷物をまとめていた場所へと駆け寄った。
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さとうみさん - ラムネサイダーさん» ありがとうございます！今さらご返信なんて、とんでもないことをしていますが同士様がいらっしゃるとは！嬉しい限りです！またいつかLISAは短編でどこかで書こうと思っておりますので、そのときはよろしくおねがいします！ (2020年9月20日 22時) (
レス) id: 3ed32e075b (このIDを非表示/違反報告)
ラムネサイダー - ジャックとボーが大好きなので最高です。 (2020年8月19日 21時) (レス) id: 36b99241c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さとうみさん | 作成日時：2020年4月24日 23時
