望まない形で巡り逢った日 ページ30
「う、嘘だろ……へ、ヘンリー……」
気が付けば後ろからボーの声が聞こえてきて、ボーは私を通り過ぎて亡骸になっていたヘンリーに歩み寄った。
そして彼の逆さまの顔を抱き締めて、すすり泣く声をヘルメットから溢していた。
「君たちの兄弟って……このミュータントなのかい……？」
「……」
ジャックの震える声の問いに対して頷くと、彼は控え気味で私とボーを見ていた。
どこか気まずそうな顔で、そんな彼に対して小さく横に首を振る。
気にしなくて良いという意味で首を横に振ったのだが、自分は酷く動転しているし悲しい気持ちが心の内をたくさん占めていた。
ボーは物心がつくと同時に共に居続けた家族がこうなってしまったのだから、私以上に酷く悲しいのはよく分かる。
「……ルーカス、ちょっと来てくれないかい……」
「……」
ボーに言われるがままに近寄れば、ヘンリーから離れて代わりに私に抱き付いてくる。
離さないと言わんばかりの力で、ぎゅうぎゅうと抱しめてくる。
「ルーカス、絶対に俺から離れないでくれ……君もいなくなったら、オレはどうにかなってしまいそうだよ……」
涙が含まれていそうな声で、ジャックよりも酷く震えた声で私を抱きしめ続けている。
その力が痛くても、私よりも彼の方が酷く傷ついていてこんなことになっているのだと気付かされる。
自分もその言葉に答えるようにと、背中に腕を回して抱きしめ返す。
何年振りだろうか、ボーとこんなに抱きしめ合うことをするだなんて。あの時はヘンリーも生きていて、とても幸せだったのに。
ボーの暖かさに段々泣けてきて、思わずヘルメットの奥で目尻に生暖かい物がゆっくりと溜まっていく感覚がしてくる。
「……っ、ぁ……」
「泣いて良いんだ……ヘンリーの死から逃げる行為じゃないんだ……」
ボーの全てに涙腺を刺激されて、ぼろぼろと涙が止めどなく零れて行く。
声を押し殺して、ひっそりとヘルメットの奥で泣き続けた。
近くに感じる気配も私たちを配慮しているのか、一定の距離で目線を送るだけだった。
ボーにぎゅっとしがみ付いて、自身の不甲斐なさと止めれなかった死を酷く悔やんだ。
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さとうみさん - ラムネサイダーさん» ありがとうございます！今さらご返信なんて、とんでもないことをしていますが同士様がいらっしゃるとは！嬉しい限りです！またいつかLISAは短編でどこかで書こうと思っておりますので、そのときはよろしくおねがいします！ (2020年9月20日 22時) (
レス) id: 3ed32e075b (このIDを非表示/違反報告)
ラムネサイダー - ジャックとボーが大好きなので最高です。 (2020年8月19日 21時) (レス) id: 36b99241c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さとうみさん | 作成日時：2020年4月24日 23時
