動転する日 ページ29
最近は死体とミュータントを見る機会が多くなった。
ボーは彼らを慈しみつつも、ミュータントですら優しい気持ちを向けていた。
それを見て自分も悲しくなってくると同時に、私も一緒に音を奏でることに手を貸している。
「君たち兄弟、絶対身が持たなくなるよ」
「別に良いんだ、俺たちが好んでしていることだし……それに彼らも誰かに看取られたいって思っているんだよ」
「ほんと……変わっているね」
ジャックにやれやれと言いた気な瞳を向けられて、きょとんとしてしまう。
ボーは力無く笑っているようで、私をヘルメット越しながらもゆっくり撫でてくれていた。
それを受け取りつつも、歩んだままであった。
「……でも、最近本当に死骸が多いね……争いごとが絶えないせいかなあ……」
「さあね……あ、そう言えば、あの女の子……人を殺し回っているって……死にかけた人から聞いたんだけど……」
「……」
「どうしたんだい、ルーカス?」
同じ性別でもやることが全く違うので、差異を感じてしまっていた。
それを感じて目を伏せがちにして歩んでいると、彼らは私を心配そうな眼で見てくる。
ボーに至っては何かを察したような雰囲気で、私を見ていた。
「……大丈夫だよ、俺がいる限りはルーカスは平気だと思うよ」
どこにそんな保証があるのかは不明だが、そんな言葉だけで軽く救われたような気持ちになれる。
それを感じていている内に、自分は彼に何度も何度も救われているのだと感じていた。
歩いていて気が付けば、目の前には洞窟の入り口があった。
周りが大分暗くなっていたので、そこで野宿をしようということになった。
その洞窟は案外狭いなあと思ったが、その奥にまだ空間があると気付いた。
「……ここ、もしかしたら先住者がいるかもしれないから確認しに行くよ」
「ここで残っているから、ジャックとルーカスとで見に行ってくれないかい?」
「……」
「分かったよ」
ジャックと一緒にその奥まった場所へと足を進める。
そこには何故か肌色が見える時があり、首を傾げていた。
下へ下へと伝うロープを伝いつつ、暗い道を何とか彼の補助付きで歩くことにしていた。
「!!!」
最奥に一番近い所で、見覚えの有る顔が異様に伸びている首とその先に付いている顔がだらりと垂れていた。
それは紛れも無く義兄で義家族のヘンリーで、大急ぎで近寄った。
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さとうみさん - ラムネサイダーさん» ありがとうございます!今さらご返信なんて、とんでもないことをしていますが同士様がいらっしゃるとは!嬉しい限りです!またいつかLISAは短編でどこかで書こうと思っておりますので、そのときはよろしくおねがいします! (2020年9月20日 22時) (レス) id: 3ed32e075b (このIDを非表示/違反報告)
ラムネサイダー - ジャックとボーが大好きなので最高です。 (2020年8月19日 21時) (レス) id: 36b99241c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さとうみさん | 作成日時:2020年4月24日 23時