面影を見る日 ページ28
ボーにさっきのことを話そうか悩んでいる中、ジャックが起きたので言えずじまいになった。
そしてまたヘンリーのことを探す旅が始まったが、さっきのことがどうも気になって足が重く感じた。
「どうしたんだい?ルーカス?」
「……」
「どうもない人はそんなぎこちないことはしないって」
私にあったことを訊きたがる彼らに何でも無いと言いたくて、とにかく首を横に振っていた。
手のひらも使いたかったが、ドラムを握っているのでそれは叶わなかったが。
「そ、そうかい?……でも、何かあったら、ちゃんと言うんだよ?」
「そうだよ、僕たち友達じゃないか」
「……」
ありがとうと言う意味で頷くと、彼らは少し心配そうな顔をしたままだが歩み続けている。
そんなままで歩き続けていると、ぼさぼさの黒髪を上に結った少女が血濡れの衣装を身にまとったまま前方から歩いて来た。
それを見たジャックは固まっているし、ボーに至っては警戒をしていた。
「……何だ、アンタら。オレに何の用だ」
「い、いや、その……君って、女の子だよ、ね……?ぼ、僕、女の子初めて見たから……よく分からないんだけど……」
「……まあ、オレは女だが」
「わぁぉ」
ジャックは目を真ん丸にして少女に近寄っている。
嫌な予感がしたので、ぐっと彼の肩を掴んでこちらに手繰り寄せる。
「な、何をするんだい?」
「……」
「驚いちゃうだろう、あまり近寄らない方が良いよ」
ボーと私とで説得していると、ジャックは渋々少女から離れる。
彼女は背にしていた剣を取り出しそうだったので、それを見兼ねて止めたのだった。
「アンタら、オレを見ても驚かないな」
「……まあね」
「……」
頷くと、彼女は怪訝そうに私たちワイアットたちを見てくる。
その視線にうろたえていると、更に近寄って来るのだ。
「ヘルメットをしている上に一人は無言だ。おかしいよな?」
「……!……!」
「お、俺たちのはファッションだから!な、何もおかしくはないよ!」
ボーと一緒になって必死にヘルメットの不可解さを隠そうとする。
ヘンリーはヘルメットをしていることがあまりなかったので、私たちの方がおかしく見られることが多かったが。
「……そうかよ。まあアンタらがオレのことを邪魔しないのなら、何もしないけどな」
剣から手を離して、再び歩き始める少女。
動く度に大きく揺れる長い黒髪は、どこか見覚えがあるようで心臓が変に騒がしかった。
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さとうみさん - ラムネサイダーさん» ありがとうございます!今さらご返信なんて、とんでもないことをしていますが同士様がいらっしゃるとは!嬉しい限りです!またいつかLISAは短編でどこかで書こうと思っておりますので、そのときはよろしくおねがいします! (2020年9月20日 22時) (レス) id: 3ed32e075b (このIDを非表示/違反報告)
ラムネサイダー - ジャックとボーが大好きなので最高です。 (2020年8月19日 21時) (レス) id: 36b99241c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さとうみさん | 作成日時:2020年4月24日 23時