転換が無い日 ページ21
あの日以来、去って行った三人とブラッドは帰ってくることは無かった。
寧ろ皆諦めているような顔で、このご時世のせいだと嫌でも感じられた。
「……はあ、ヘンリーに逢う機会が無くなっちゃったね」
ボーは私の隣で、失踪した家族のヘンリーの名前を呟いていた。
わたしもヘンリーに逢いたい、それは彼と同じ気持ちだ。
「あれから皆と別れちゃったけど……俺たち二人でヘンリー捜しの旅を再開でもするかい？」
それに頷くと、彼は「やっぱりルーカスとは馬が合うね」と穏やかな雰囲気を醸しだしていた。
そして沼地のいつものバーで、いつもの席に座って待つことにしていた。
皆数日待ったが、結局帰って来なかったので解散してしまった。
それでも行く先は同じのハーヴェイと、何故か付いて来たジャックと道中を共にして……で、今はジャックとボーとで暮らしているような形に近い。
クイーンも沼地の風俗店から来たらしいが、各地を旅するとかで解散したその場ですぐにどこかへと行った。
「……何で君は来たんだい？」
「ルーカスとボーの近くでいたら、良い案が思い浮かびそうだったんだ！」
「変だね」
「そうかな？」
彼は持っていたトランプの半分ほどの束を渡して来ていて、それでババ抜きなるものをしていた。
久し振りにするババ抜きに、心理戦が入って来る。ジャックはこの時に限って何も表情を変えないで、勝った時だけ表情を柔らかくする。
「ふふーん、あっがりー」
「！！」
「悔しそうだね」
ジャックに肩をぽんぽんとたたかれていて、それが少し劣等感を与えてくる。
「え？次は負けないって？」
「！」
「良いよ、僕も手加減はしないから」
ジャックは嬉しそうに笑いつつも、トランプをポケットにしまい込んでいた。
「ジャックも彼が言いたいことが、大体分かるのかい？」
「雰囲気だけどね」
ジャックは私のヘルメットに手を伸ばして、ゆるゆると撫でていた。
その動作をされて驚いていると、ボーは「ルーカスが好きなのかい？」とふと訊いていた。
「まあ好きだよ、友人として」
「彼が女だったら？」
「女の子ってどんな感じ？僕はマグでしか、女の子を知らないから」
「そっか、ルーカスと同じフラッシュ後で生きて来たんだったね」
ぽかんとしたジャックは隣にいる私の顔を覗き込むように、ヘルメットの先で彼の顔が見えてくる。
その時には少し困惑してしまっていると、彼は一言告げて来た。
「まあ女の子だったら、僕はどうなっていたか分からなかったよ」
へにゃりと笑っていても、言っていることはやや意味深で意味が分からなかった。
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さとうみさん - ラムネサイダーさん» ありがとうございます！今さらご返信なんて、とんでもないことをしていますが同士様がいらっしゃるとは！嬉しい限りです！またいつかLISAは短編でどこかで書こうと思っておりますので、そのときはよろしくおねがいします！ (2020年9月20日 22時) (
レス) id: 3ed32e075b (このIDを非表示/違反報告)
ラムネサイダー - ジャックとボーが大好きなので最高です。 (2020年8月19日 21時) (レス) id: 36b99241c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さとうみさん | 作成日時：2020年4月24日 23時
