初めてお風呂に入った日 ページ16
悪寒だけで目が覚めると、背中に汗が伝う感覚がすぐに感じられた。
むだに心拍数が多くて、ばくばくとなっていた。
「起きるんだ、おチビさん」
「……?」
「何か分かっていない様子だな」
ボーの背中に未だにいると分かると同時に、私のヘルメットの上からハーヴェイの声が聞こえてくる。
それに気が付いて、同時にヘルメットと服の隙間に潜り込んでくる湿った空気に驚く。
「ルーカス?起きたかい?」
「……」
「分かった、下ろすよ」
彼に下ろされると同時に、ぴちゃと水が跳ねる音が聞こえてくる。
どこだここはと混乱していると、「ここはデビルズバスハウスで……って、ルーカスはお風呂に一度も入ったことが無かったね。いつか入らせてあげたいんだけど……」とボーは教えてくれた。やけに湿った空気とむだにバスと呼ばれた室内で響く声に驚いてしまう。
「僕も初めてだよ、お風呂だなんて入ったこと無いし」
「ジャックもかい?結構年齢はルーカスと近いみたいなものか?」
「多分一番若いのはルーカスだよ、僕はずっと砂漠を一人で歩き続けていたし……ブラッドについて行って良かったってつくづく思うよ。楽しい場所がいっぱいだし……でも、血が舞っていることが多いけど」
「諦めるんだな、手品師の君。このご時世も相まってはいるが、相棒はやや血の気が盛んなお人好しでもあるんだ」
「矛盾していないかい?」
魚人ハーヴェイの言葉通りに、ブラッドは自ら進んで相手を殴りに行くことを時々しているのもある。
私が眠っている間に、メンバーが変わっていると気付いた。ブラッドは木を切り倒しにいったらしく、今私たちの向かっている理由は動力源にあたるうちわがあるとかだとボーが少ししたら教えてくれた。
「……」
「はあ、こんなところにいたら、アタシの髪の毛が湿っちゃうわ……」
「……」
「アナタたち、蒸れそうな格好をしているけど……平気かしら?」
「ずっとこんな格好をしているから、そんなに気にならないかな」
女性物下着を身に付けたクイーンが、私たちの方へと近寄って来る。
ボーが私と同じようなことを考えていて、その通りだと私も頷く。頷く動作の最中に、ハーヴェイは私の肩に移動してきていた。
「突然頷くものじゃないぞ。危うく僕がお湯の中に落ちかけたじゃないか」
「ボイルフィッシュになったんじゃない?」
「うるさいぞ、ジャック」
ぎろりとハーヴェイが、ジャックを睨んでいる光景が横目に入った。
それを見て、少しお腹が空いたなあと思ってお腹をさすった。
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さとうみさん - ラムネサイダーさん» ありがとうございます!今さらご返信なんて、とんでもないことをしていますが同士様がいらっしゃるとは!嬉しい限りです!またいつかLISAは短編でどこかで書こうと思っておりますので、そのときはよろしくおねがいします! (2020年9月20日 22時) (レス) id: 3ed32e075b (このIDを非表示/違反報告)
ラムネサイダー - ジャックとボーが大好きなので最高です。 (2020年8月19日 21時) (レス) id: 36b99241c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さとうみさん | 作成日時:2020年4月24日 23時