74 ページ31
見なくてもその正体は分かる。ナイフだ。
「舐めンなよ」
『舐めてないよ。ただ本当のことを言っただけであって』
そう言った瞬間、ピリ、とした痛みが首に走り、顔が歪んだ。
大寿が笑う。
「雨音由希は意識不明の重体だそうだなぁ?妹の後を追いに来たのか?」
『由希は死んでねぇよ。残念ながら目を覚ましました。それよりも離してくれない?痛いんだけど』
大寿が舌打ちをする。そして、タケミっちの方へ行ったかと思えばタケミっちを殴り始めた。嫌な音が辺りに響き渡る。
ヒナが叫び、大寿の前に立ちはだかろうとした。
「いい加減にしなよ!!」
その腕を柚葉が掴んで止める。
「ダメだよヒナ!大寿はアンタにも容赦しない」
「・・・・・・っ、でも黙って見てられないよ!!タケミチ君死んじゃう!!」
『ヒナー。無謀に飛び込むのは良くないよ。下手したらヒナとタケミっちが仲良く心中コースだよ』
反対側から、ヒナに向かって叫ぶ。それでもヒナは、でも、とタケミっちの方を見ていた。本当にいい彼女持ってんな、タケミっち。泣かせんなよ彼女。
唐突に、兄貴!!と声がした。八戒が前に出る。
「やめてくれ」
「あ"!?」
「お願いだ!」
大寿はその言葉を聞きながらもタケミっちを殴り続けた。
「ハッカーイ。人にモノを頼む時は交換条件が必要だろ!?ちゃんと見合うモノ差し出せよ。じゃなきゃあ、コイツはここでくたばる」
「東卍を・・・やめるよ」
今まで止まらなかった大寿の拳が、八戒の一言でピタ、と止まった。
大寿が八戒を横目で見る。
「兄貴を支える為に、黒龍に入る。だからタケミっちと雨音を離せ!交換条件だ!!」
大寿はタケミっちを離した。それと同時に、私もイヌピーから強く背中を押される。
ヒナ達の元へ戻る前に、少しだけイヌピーとココの方を見た。鋭く睨むその目の奥に、少しだけ不安が見えたような気がした。
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←73
39人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あゆ - 場地さんは結局どうなるんですかね!続きが気になります!無理せず頑張ってください! (10月23日 11時) (レス) @page27 id: 664202b07f (このIDを非表示/違反報告)
Wolf @ 元フェアリー(プロフ) - こさん» 見返して見たら本当に春千代になってました・・・すみません、訂正しときます! (7月1日 12時) (レス) id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
こ - コメント失礼します、春千代ではなく春千夜です。訂正お願いいたします。 (7月1日 2時) (レス) @page24 id: cf0dafbedb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Wolf @ 元フェアリー | 作者ホームページ:http
作成日時:2023年2月6日 18時