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タケミっちが一虎を突き飛ばす。
千冬が一虎の胸倉を掴んで何か叫んでいる。

耳鳴りがする。
駄目だ、まだ死んじゃ。


『っ・・・・・・由希!!!』

「まさか、背後を気取られるとはねぇ・・・場地の・・・成り代わりってやつ?」

『言ってる場合かよ!!』


由希が途切れ途切れに声を出す。
急いで携帯を取り出して救急車に電話をかける。

涙で視界がぼやける。


「A・・・大丈夫だって・・・確かに、もうなんかヤバいけど・・・・・・死にはしないし・・・死ぬつもりもない、から」

「由希、もう喋ンじゃねぇ」


場地が由希の肩を掴む。
なんだよ、誰か一人はこうなる運命なのか。救済とか所詮は夢物語だとでも言いたいのか。こうして場地は生きているのに。


「一虎・・・テメー何してんだ」


由希の傷口をハンカチで抑えていると万次郎の静かな声が辺りに重く響き渡った。
廃車の山を下って、万次郎が降りてくる。


「とうとう女にまで手ェ挙げる屑になったのかよ」

「オレの計画を邪魔したアイツが悪いんだ・・・あの女が・・・」


戯言をダラダラと垂れ流す一虎にザワっと殺意が沸いた。
思わず一虎の方へ向かおうとすると、裾を引っ張られる。


「A・・・!良いから・・・勝手に殺すな馬鹿・・・生きて、一虎を一発ぶん殴る・・・それで良いでしょ・・・」

『でも由希・・・!』


由希が口を開きかけた瞬間、甲高い叫び声が上がった。
吃驚して下の方を見ると、何故かアイツが__花蓮がいた。


「マイキーくんっ!大丈夫ぅ?皆もいっぱい怪我してる・・・花蓮、心配ぃ・・・」

『なんで、お前が・・・』

「・・・んの、クソ女・・・」


由希がそう言い放ったと思えば、私に寄り掛かりながら立ち上がって叫んだ。


「春千夜!!ソイツ追い出せ!」

『バッ・・・』


馬鹿、と言おうとした瞬間、さっきので体力を使い果たしたのか地面に倒れ、そのまま気絶した。

全員がどよめきの声を漏らす。春千夜が焦った様子でこっちに上がって来ていた。

春千夜は、上がってくると言った。


「さっさと来い。隊長が車を用意してる。急げ」


由希を背負って私にそう言った。付き添いとして来い、という意味だろう。


私たちはそのまま病院へと向かい、由希は緊急手術をする事になった。

私達が介入した"血のハロウィン"の結末がどうなったのか。
それを由希と私は知らない。

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あゆ - 場地さんは結局どうなるんですかね!続きが気になります!無理せず頑張ってください! (10月23日 11時) (レス) @page27 id: 664202b07f (このIDを非表示/違反報告)
Wolf @ 元フェアリー(プロフ) - こさん» 見返して見たら本当に春千代になってました・・・すみません、訂正しときます! (7月1日 12時) (レス) id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
- コメント失礼します、春千代ではなく春千夜です。訂正お願いいたします。 (7月1日 2時) (レス) @page24 id: cf0dafbedb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Wolf @ 元フェアリー | 作者ホームページ:http  
作成日時:2023年2月6日 18時

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