縁結びの縁切りさん【地縛少年花子くん】 (ページ6)

今日:86 hit、昨日:49 hit、合計:6,687 hit

. ページ6

二人に引かれたのを無視して、私は完成したドーナツに手を伸ばした。

「じゃー味見ってことで。いただきまぁす」

「あっ、ちょっと！ズルい！」

「寧々も食べればいいじゃん」

ドーナツを持ってやいのやいのと言い合っていると、少年がぱこん、と誰かに叩かれた。
源を叩いた人の顔を見て、私はサーっと血の気が引いた。

「にっ、兄ちゃん!!!」

そう。源光の兄。源輝がいたのだ。しかも最強の祓い屋、と付く。
源輝は、少年に絞め技を笑顔でかけている。

「やあ、八尋さん、縁霊さん。君達もドーナツ作り？」

「え"っ、いや、まぁ、はい･･･」

急に話を振られ、狼狽える。
そして寧々は源輝に話し掛けられて物凄く嬉しそうな顔をしている。こっちの気も知らないで･･･

「源くんに、お料理苦手だから手伝って欲しいって頼まれて･･･」

寧々の言葉に、源輝は面食らったような顔をした。
そして何かを言いかけたが、少年がドーナツを口に突っ込んだことによってそれは阻止された。

少年は一瞬の間にドーナツを袋に詰め、寧々に渡した。

「ほぉ〜ん。成程ねぇ〜」

ドーナツといや柚木の好物だけど、柚木との仲直り(？)の為にってことか。
いや〜青春だなー。とか思いながら、私も持っていたドーナツを頬張った。

「ん、美味」

寧々が柚木の所へ向かったところで、源輝が少年の頭に腕を乗せた。

「誰が料理苦手だって？ウチの家事は全部お前がやってるくせに」

「あ、やっぱり。お菓子作る時の手際からしてそうじゃないかなーとは思ってたけど」

「バレてたんすか！？」

むしろ何故バレないと思ったのか教えて欲しいが。
源輝が、まぁ、と付け足す。

「僕が手伝うと、さっきみたいにグチャグチャになっちゃうからだけど」

「貴方の仕業ですか。危うく家庭科室が崩壊する所でしたよ。料理壊滅的にも程があるでしょ」

「それは謝るけど。ところでなんで七不思議の零番がここにいるの？」

急に空気が張り詰める。源輝は笑顔だけど、目が笑ってない。どんだけ怪異が嫌いなんだよ。

「なんでって･･･気付いてるでしょ。あと、私の事祓ったらこの学園の人間全員の縁が崩壊しますよ」

「知ってるよ。だから祓いたくても祓えないんだよね･･･ほんとストレス」

「だから茜で発散してるんですか･･･可哀想に･･･」

つくづく報われないな･･･茜･･･