縁結びの縁切りさん【地縛少年花子くん】 (ページ21)

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目を覚ますと目の前に沢山のお菓子があった。それにつられ、焼き菓子の芳ばしい匂いが香る。足を動かすと、水が張ってある感覚がした。

『･･･境界か、』

辺りを見回すと、学校の中とは思えない内装をしている部屋があった。私の隣には寧々が眠っており、制服じゃなくなっている。私も何時の間にか怪異の時の服装･･･つまり昔の制服へと変わっていた。

椅子から立ち上がり、辺りの様子を伺う。ポケットを探るも、何時もの鋏はない。恐らく気絶した時に落としたのだろう。

少し探索していると寧々が目覚めた。

「凪･･･此処って」

『多分境界。まさか、司があんな手段で来るとは･･･』

強行が過ぎる。その時、綺麗な声がした。

「目が覚めた？」

振り返ると、そこには緑髪のショートで両サイドを編み込んでいる、綺麗な少女が立っていた。

「乱暴はしないように言っておいたんだけど。あの二人、話を聞かないから」

寧々があっ、と声をあげる。この人を知っているみたいだった。

「貴方は･･･！あの時の、花子くんの彼女!!」

ガタッと音を立てて寧々が立ち上がった。
･･････柚木の彼女？

『えっ』

「･･･違」

少女は違う、と言いかけた。しかし、それは突然飛び出してきた司と日向先輩によって最後まで発されることはなかった。

「サクラ、あまねと付き合ってたの！？マジで！？」

「嘘ですよね！？嘘ですよね！？」

キスをしたかと聞き続ける司と、嘘だと言って、と懇願する日向先輩。軽くカオスだ。寧々が少し後退った。その行動は正解だと思う。

暫く騒いでいたが、少女が日向先輩に平手打ちを、司に拳骨を二発お見舞いしてその場は治まった。

「改めて、初めまして。八尋寧々さん。縁霊凪さん。挨拶が遅れてごめんなさいね。私は七峰桜。高等部の三年生」

『先輩か･･･』

七峰先輩は茶葉をポットに注ぎながら言う。

「ええ。そして、八尋寧々さん。貴方と同じ、願いの対価に怪異と縁を結んだ人間よ」

「私と同じ･･･？」

「私が縁を結んだ相手はこの子」

そう言って司を見る。私は七峰先輩と司の指を見た。確かにそこには、契約の縁が結ばれている。

「ちょっと子供っぽいけど、意外と頼りにはなるのよ」

「･･･夏彦先輩は･･･」

チラ、とコーヒーを注いでいる日向先輩を見る。七峰先輩はああ、と言った。

「あれは空気みたいなものよ」

空気･･･