縁結びの縁切りさん【地縛少年花子くん】 (ページ20)

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【お茶会】ページ20

そして現在。私は宣言通り寧々について行った。葵には止められたけど振り切ってきた。寧々をこんな男と付き合わせる訳にはいかない。私が守らねば(謎の使命感)

「あの･･･先輩は･･･」

寧々が遠慮がちに聞くと、先輩はペラペラと喋りだした。

「俺は日向夏彦！高等部二年B組。趣味は釣りとカラオケ。ちなみに彼女はいつでも募集中〜！」

『よし、寧々。やっぱり帰ろう。この人チャラ過ぎるよ絶対よくない』

寧々の背中を押し、教室へ戻ろうとすると日向先輩に慌てて止められた。
寧々にも説得され、渋々ついて行く。

「日向･･･お話するの初めてですよね」

「夏彦先輩って呼んでよ。あ、連絡先交換しよ〜ぜ〜。凪ちゃんも」

『教えた覚えがないのに私の名前を知ってる人間とは交換しません』

そういうと、冷たいなぁ〜と軽く笑われた。何笑ってんだ。
結局寧々は連絡先を交換し、頬を染めて嬉しそうにしている。

「あの･･･先輩はどうして私を･･･？」

「ん？君に会いたいって人がいてね」

「会いたい人･･･？どうして私に？」

寧々が聞くと、日向先輩はふざけ調子に寧々が特別な女の子だから、と言っていた。

「特別だなんてそんな･･･」

『嬉しい？名も知らぬ人間から特別とか言われて』

私が死んだ目で寧々に言うと、寧々はその特別感が嬉しいの！と言う。
正直理解出来ない。ごめん。

「えっと、あの･････････どうして金魚鉢なんか持ってるんですか？」

寧々の言葉で日向先輩を見る。すると、寧々の言う通り日向先輩の手には金魚鉢が乗っていた。金魚鉢は日向先輩が歩く度に揺れ、中の水が波打っている。

「どうしてだと思う？」

「さっ、さあ･･･？」

私はそっとポケットの中の鋏に手を伸ばした。すると、次の瞬間、よいしょ、と声が聞こえて、大量の水が落ちる音が聞こえた。

『なっ、』

隣に居た寧々の気配が消え、代わりに後ろに司が居た。
司は寧々を気絶させて金魚鉢に入れ、そして私に気付くと思いっきり抱き着いてきた。

「凪！昨日ぶりだね！」

『ちょ、司』

「昨日はよく話せなかったけど今日はいっぱい話せる！」

『話を聞け！』

肩を掴んで離れさせる。そして、首筋に鋏を当てた。

『何が目的？寧々をどうするつもりなの』

「あははっ！あまねに貰った鋏、まだ使ってたんだね。俺もあげたのに」

『司！』

「凪、ちょっとだけ大人しくしててね」

は、と声を出す間もなく、私の意識は途切れた。