縁結びの縁切りさん【地縛少年花子くん】 (ページ18)

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全て消え、残ったカメラを源は見つめていた。
俺の反対側では、姉ちゃんと柚木先輩が何かを話している。ふと、源が呟くように言った。

「･･･ったはずだ」

全員が源を見た。

「もっ、もっとッ･･･なんか、あったハズだ。できること･･･してやれたこと･･･」

源の声が震え、カメラを持つ手が震えている。

「オレが輝兄みたいに強かったら、こんなことになってねーんだ･･･！」

『･･･源。気にしなくていい』

姉ちゃんが源に近付き、肩に手を置く。柚木先輩も言った。

「･･･死者にとっての救いはきっと消滅だけなんだから、これで良かったんだ」

「良くねぇ！」

源は柚木先輩の手を掴み、訴えるように怒鳴った。

「全然良くねぇよ!!それにっ･･･消えるのだけが救いだとかっ、そんなこと言うな!!!」

源の目には涙が溢れている。

「オレは、三葉をあんなにしたアイツのこと、ぜってぇ許さねー･･･!!」

柚木先輩は目を見開き、そして、そう、とだけ言った。

side凪

『･･･本当に久しぶりだね。柚木』

源が帰宅し、詩音も境界へと戻った今、柚木と久々に対面する。嘗て、数少ない友人だった柚木普に、気まずい沈黙を破るように挨拶をした。

「もう普とは呼んでくれないんだね」

『もうそんな仲でも、なくなったでしょう』

困ったように眉を下げて言う。月光が、暗く、けれど明るく柚木の顔と私の顔を照らしていた。

『･･･本当、久々すぎて何を話したらいいのかわからないんだけれど･･･まさか、七不思議の首魁になってるとは』

「凪こそ。まさか七不思議の零番目になってるとは。本当に自＿殺が成功したんだね」

『･･･あれは、自＿殺じゃない』

目を伏せて言う。柚木は何も聞かずに、そう、とだけ言う。
また沈黙が降り、気まずい空気が再び戻ってきそうになった時、おや、と聞こえた。

「これはまた･･･珍しい組み合わせですね」

土籠がそこにいた。本当に異色の組み合わせだと思う。
昔の同級生と教師だなんて。

『仕組まれでもしてるのか、疑うレベルの偶然だね。教員の仕事はどうしたの？』

「もう終わった所だよ。何時もは境界に帰るんだが･･･依代を壊されちまったんもんだからな。保健室で寝るつもりだ。凪。お前こそ課題はやってんのか」

『あんなの課題にならない。簡単すぎ』

文句を言うと、じゃあ提出しろ、と怒られる。答えはわかってるのにわざわざ紙に書くのがめんどうなんだよ。