縁結びの縁切りさん【地縛少年花子くん】 (ページ12)

今日:10 hit、昨日:89 hit、合計:6,700 hit

. ページ12

カシャ、と数回音がして、鳥の雛が鳴く声が聞こえた。
源がミツバ、と三葉を数回呼ぶ。

「痛ってぇ！」

「踏み台ざまぁwwww」

「てめぇマジ覚えてろよ!!」

源は三葉の踏み台になっていた。
屋根の上にある鳥の巣の雛が撮りたいと言い出して、源が餌で親鳥を引き付け、その上に三葉が乗り写真を撮る、という作戦だ。
本当に撮りたい写真だ、と四回は言っているが、どれも源を怒らせているようにしか見えない。

「つーか詩音も手伝えよ！」

「源が言い出した事だろ」

「はァ！？」

これに関して怒られる筋合いはない。てか本当に源が勝手に言い出してオレをここまで連れ出したんだ。オレが手伝わない事の何が悪い。

「もうそろそろ終わりにしねぇ？」

「はぁ〜？撮りたかった写真が見つかるまでは付き合ってくれるんでしょ？それとも何かなぁ。由緒正しき祓い屋クソダサ交通ピアス様は、一度した約束を簡単に破棄しちゃう嘘つきクソダサ交通･･･」

煽りに煽った三葉は何度目か分からない雷霆杖で攻撃されていた。

「三葉も学びなよ･･･」

「つーか･･･さっきから動物とか景色とかばっかじゃん･･･人は？部活風景とか撮らねーの？」

「は？」

グラウンドの方から野球部の声や、ボールが打たれる音が聞こえてくる。

「あー･･･まあ、人物写真の方が賞には入りやすいけどぉ･･････」

そう言うと、三葉は少し気まずそうな顔をして俯いた。
それと同時に、オレも少し気まずくなる。その時、ブーブー、とポケットに入れていた携帯が振動した。

「あ、ごめん。ちょっと出てくる。源、三葉の事宜しくな」

「お？おう！」

場所を移動して電話に出ると、姉の凪の声がした。

《あ、詩音？今何処？》

「何処って･･･」

《いやぁ、ね。ちょっと不吉な縁が見えてさ。まだ切らずに泳がしてるんだけど、念の為詩音に連絡しとこうと思って》

不吉な縁。
オレ達零番は七不思議の役職柄、何かが起きる前に対処出来るように、不吉な縁だけは何もしなくても見えるようになっている。

「切らずに泳がせてるって事は･･･切るとどちらかに影響が出るってことか？」

《現段階では分からないよ。だけど･･･コレは怪異同士の縁。恐らく強い怪異が何かを代償に弱い怪異を現世に留めている可能性が高い》

「成程な･･･」

《･･･詩音。最後にこれだけ。

"柚木司"には気を付けろ》