縁結びの縁切りさん【地縛少年花子くん】 (ページ1)

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【出会い】ページ1

side八尋寧々

私は今、屋上に来ている。
なんでも葵が、屋上に忘れ物をしたとかで、用事がある葵に代わって忘れ物を探しに来たの。
屋上の扉を開くと、ザアッと強い風が吹いて、思わず目を細める。

「わっ･･････あれ？」

奥の方の手摺に誰か腰掛けている。
昔の制服に黒い髪の毛の男の子。なんだかあの子･･･

「花子くんに似てる･･･？」

もしかして本当に花子くん？こんなところにいるなんて珍しいけど･･･
そこまで考えて、はっとした。今、個人的に花子くんとはすごく気まずい。

詳しく話せば長くなるけど、ついこの間、16時の書庫の管理人、土籠先生の依代を壊して記憶を見てから、まともに花子くんとの会話ができない。

花子くんだったらどうしよう、と考えていると、ふとその男の子が振り向いた。

「･･･誰？」

その子の顔を見て、思わず息を呑んだ。
すごく、綺麗な顔立ちをしていたから。

青い瞳に、中性的な顔。風に吹かれるサラサラの髪。

儚げがあるイケメン･･･
瞬間、自分の好みのタイプにランキング入りしたような気がした。

「え、えっと･･･私、八尋寧々！貴方、どうしてそんな所にいるの？」

「八尋･･･寧々」

その男の子は、私の名前を呟くと、ハッと目を見開いて、自分の体に手をかざした。
その瞬間、そこには何も無かったかのように、ふっと消えた。

思わず、えっ･･･と声が出る。

もしかして今の子、怪異･･･？

side？？

「･･･あの子が"柚木"の助手かぁ」

一人の少女は、屋上の屋根からその光景を見ていた。
そして、自分の顎に手を添える。何かを考え込むように、足を組んだ。

「"姉ちゃん"･･･あんま余計な事すんなよ。"柚木先輩"、怒らせたら怖いんだからな」

「そんなの、私が一番知ってるよ。柚木の数少ないオトモダチだよ？私は」

少女の声に、少女を姉と呼んだ少年は呆れた様子で少女を見つめる。これ以上は言っても聞きやしない。そう言うかのような雰囲気を漂わせる。

それに気付いたのか気付いていないのか、少女はチラリと少年の方を向いて、しかし直ぐに視線を"八尋寧々"の方に戻した。

「まぁ･･･もうすぐであの子とも、"怪異として"会うことになるでしょ･･･柚木の反応が楽しみだなぁ」

妖しい笑みを浮かべる少女に、少年は"柚木"という人に哀れみの気持ちを送った。