カッケェ女子【HQ】【夜久衛輔】 (ページ5)

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用事を終えて、体育館に戻ると、皆が練習をしていた。
皆顔が真剣で、真面目で、でも楽しそうで。きっと本気でバレーやってんだろな。

『･･････』

私もそうだった。そうだったけど、
嫌な思い出が蘇りそうになって、慌てて頭を横に降ってその思い出を振り払う。

右の頬を軽くパチン、と叩いて、笑顔を作った。

『夜久ー、終わったんだけどさ、ちょっとだけ見てってもいー？』

少し大きな声を出して夜久に聞く。

「あー、どうだろうな。黒尾ー、羽駒ギャラリーに入れてもいいか？」

「ん、練習の邪魔しないならドーゾ」

「だってさ。あ、一応流れ弾には気を付けろよ」

『うぃーっす』

夜久モテてそうだな。可愛いし。でも、意外とオカン気質って言うのかな。心配性？なんでもいいけど、優しいし。安心感があるしな。

ギャラリーに登って手摺に体重をかけながら練習風景を見る。
本当に懐かしい。

私も、昔はバレーをやっていた。ポジションは身長の影響でリベロ。まぁ、リベロは元々好きなポジションだったから文句はなかった。

本当にバレーが大好きだったし、今でもそれは変わらない。
でも、もう出来ない。

姉ちゃんがバレーをやってたから。

姉ちゃんは今から五年くらい前、私が中学二年の時に、不慮の事故で亡くなった。
姉ちゃんっ子だったから。私だけバレーをして楽しむのが、自分で耐えられなかった。
それに、私があの時レシーブを姉ちゃんの所にちゃんと返せていれば、

そんな考えばかりが毎日よぎって嫌になる。

色々と考えていると、危ねぇ！と声がした。
見ると、こっちに向かってボールが来ていた。

『え"、や、ちょっと待っ･･･』

そんな高く飛ぶことある･･･！？

この狭い場所でレシーブの体制をとるなんて到底出来るはずもなく、咄嗟に顔を腕で庇って痛みに備えた。
バシッと音がして、次に腕に痛みが走る。

･･････痛ぇ、
いや、さほど痛くは無ぇけど、久々のバレーボールはちょっと痛い。

下でリエーフくんとやらを叱っているような声が聞こえる。
そこでちょっとだけ仕返しを兼ねてボールを投げ返すことにした。

まだ少し痛む腕を擦りながら、ボールを片手で掴んで持ち上げる。久々にバレーボール触るな･･･

まだリエーフ君に対してキレている夜久に、夜久ー！と呼び掛けてからボールをぶん投げた。
すると、焦りながらもちゃんとレシーブで取ってくれた。

流石リベロ、という意味も込めて、夜久にグーサインを決めといた。