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それから1ヶ月が経ち、涼は無事退院する事ができた。俺との記憶は無いけど、ジャニーズである事。HiHi Jetsのメンバーの一員である事やローラーの滑り方や一通りの振りも覚えていたからHiHi Jetsとして昔と同じように活動する事になった。けど…。
ガチャ。
瑞稀「はよ…」
涼「あっ!瑞稀君!おはよ!」
瑞稀「おはよ。涼」
涼「さっきね、優斗がなんにもない所で豪快に転んじゃってさ〜」
優斗「おい、お前それ言うなよ〜」
涼「瑞稀君にも見してあげたかったな〜」
まただ。涼はあれから俺の事を君付けで呼ぶようになった。前は、『瑞稀』って呼んでくれたのに…。俺も『涼』って呼んでるのに。昔なら凄く喜んでくれたのに…。
瑞稀「ねぇ、涼。この後、暇?一緒に行きたい所があるんだ」
涼「いいよ!」
それから俺は暇さえあれば涼を俺達の思い出の場所に連れ出した。夏になると泳ぎの練習なんてかこつけて毎年のように行った湘南の海。スノープリンス合唱団の時に初めてステージに立った会場。付き合って1年の時に2人でドキドキしながら初めて入った思い出のアクセサリー屋。どこへ連れて行っても涼は申し訳なさそうに首を横に振るだけだった。
涼「ここのオムライスめっちゃ美味しいね!」
瑞稀「ここはね、涼と初めて来たオムライス屋さんなんだよ」
涼「そう…なんだね…」
瑞稀「何も…思い出せない?」
涼「うん…」
今日は、俺がオムライスが好きで涼が色々調べてくれて入ったオムライス屋に来てる。でもやっぱり何も思い出せないみたい。また涼に暗い顔をさせてしまった。こんな顔、させたくないのに…。
瑞稀「なんか、ごめんね?料理が不味くなっちゃうね。ほら、食べよ?」
涼「ねぇ、瑞稀君。俺と瑞稀君って、どういう関係だったの?」
瑞稀「どういうって…」
涼「LINEや写真見れば少しは思い出せるかもって思って瑞稀君とのLINEのやり取り見てたけど。なんだか、カップル?のようなやり取りしてて」
瑞稀「ただのメンバーの1人でしか無いよ。それはふざけて俺と涼でカップルみたいなLINEのやり取りしてただけ。だから、あんま気にしないで?」
涼「そうなんだ。分かった!」
『俺と涼は恋人同士なんだよ』なんて言える訳無いじゃん。やっとここまでまた涼と仲良くなれたのに。また、涼を手離したくない。恋人同士だったなんて言ったら君はまた俺から離れて行っちゃうんでしょ?そんなの、もう嫌だから…。
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作者名:パセリまみれ | 作成日時:2021年4月13日 20時