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瑞稀「部分…健忘…?」
その言葉は、俺達には聞き慣れない言葉だった。
医師「はい。思い出せる記憶と、思い出せない記憶が混在している状態の事を部分健忘と言います。例えば橋本さんの場合だと自分の名前、グループのメンバーの名前、住所の事は覚えていますが、井上さんとの記憶が完全に抜けてしまっています。この症状になる理由は二通りあります。一つは、その記憶を思い出すに当たって何らかのストレスが生じられるから、脳が思い出したくないと思っている場合。もう一つは、この人との記憶は絶対忘れたくないという思いが強すぎて逆に記憶が抜け落ちてしまった場合があります。恐らく橋本さんの場合、理由は後者だと思われます。井上さんとの記憶は絶対に忘れたくないという意思が強すぎて、逆に井上さんとの記憶が抜け落ちてしまったのだと思われます」
瑞稀「そんな…。治るんですよね?ちゃんと記憶戻るんですよね?」
Mg「瑞稀!少し落ち着きなさい!すみません。話、続けて下さい」
俺は我を忘れて先生につかみ掛かっていた。
医師「はい。一時的な記憶障害だと思われますので、何か思い出すきっかけがあれば思い出すと思います」
先生との話が終わってからセブンメン、美少年や涼と交流のあった先輩後輩が続々と駆け付けてくれた。
優斗「瑞稀。そんな気落とすなって!大丈夫だって。お前らずっと一緒にいるんだろ?こんな事で終わらねーって」
瑞稀「俺、今更気付いたんだよ。涼の存在が。どれだけ俺を支えてたかって」
克樹「瑞稀君…」
瑞稀「あの太陽のような笑顔見ないと何か力湧かないんだよ。こんな事になるんだったら。もっと、甘えればよかった。もっと、涼が鬱陶しいって思う程、『好き』って叫べばよかった。けど…今更気付いてもおせーよな?もう、涼のいる世界には、俺の存在はないんだからさ。今日と同じ明日なんて来ない。そんな事、分かってたつもりだったんだけどな…。俺、全然分かってなかった…」
嶺亜「諦めるのはまだ早いんじゃない?」
瑞稀「え?」
嶺亜「だってまだ何にもして無いじゃん。だからやるだけのことやってみたら?諦めるのはそれからでも遅くないんじゃない?」
瑞稀「嶺亜…」
照「そうだよ!まずやるだけのこと、やってみろよ?な?」
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作者名:パセリまみれ | 作成日時:2021年4月13日 20時